昨日は、国語の論説文の解法のコツについて書きました。

今回は、論説文よりも出題率の高い「物語文」の解法のコツについて書いていきます。


物語には、当然のことながら登場人物がいます。


まず、主人公が一人の場合について考えてみましょう。


物語文でほとんど共通することは、何かのきっかけがあって「主人公の心情」が、物語の「最初」と「最後」で変化するということです。


中学受験問題の多くは、主人公の心情が「子ども」から「大人」に成長、つまり変化するパターンが多いです。


わかりやすい具体例を考えてみましょう。


主人公は小さな頃から家で飼っていた豚たちを、親の手伝いで面倒を見ているうちに豚たちを大好きになりました。

外敵から守るための手伝いもしました。

この時点での主人公の心情は「豚たちを可愛がる動物好きの少年の心」です。


成長した豚たちは、食肉になるためにある日運ばれていきます。

「動物好きの少年の心」はとても傷つきます。

心の中で親や大人たちを恨んだり、親に抗議する行動に出たりします。

しばらくの間は肉を食べることも拒絶します。


何らかのきっかけで、自分が口にしている魚や野菜も豚と同じ「生き物」であることを気づかされます。


少年は「生きていくためには他の生命を食べるしかなく、それが自然の摂理であること」に気づきます。

主人公の心情は、「他の命の犠牲のおかげで自分たちが生きていける」というものに変化します。


この例では、物語の最初の部分では、主人公は「生き物を殺すことは残酷だ」という心情を持っていますが、「何らかのきっかけ」によって、最後には「生き物を食べることによって自分たちは生かされている」という心情に変化します。


「生き物を殺すのは残酷」というのが物語の最初の主人公の「心情」


そして、その心情が変わる「きっかけ」があります。


その「きっかけ」を経て、主人公は、自分たち人間は他の命の犠牲の上で生きているという「心情」に変化します。


このように、物語の最初の「心情」が、ある「きっかけ」を経て、物語の終わりの「新しい心情」に変化していくのが、一般的な物語文です。

特に、中学受験問題では、ここで出した例のように、「幼い心情」から「大人的な心情」に成長して行くパターンが多いですね。


このようなパターンをご理解いただければ、物語文の当初の「心情」が描かれている部分(主人公の台詞であったり気持ち、場合によっては主人公の言動)、変化する「きっかけ」が描かれている部分(これは事柄つまり何らかの事実であることがほとんどです。年長者の話なども主人公にとっては事柄です)、「変化した後の心情」換えがかれている部分(台詞や気持ち、場合によっては主人公の言動)の3つを問題文から引っ張り出せばいいのです。


先の例を、くどいようですが更に具体的に示すと次のようになります。


運ばれていく豚が殺されることを知って、主人公は親に涙ながらに訴える(最初の心情)。


祖父母の家に行き、祖父から昔は食べ物がなくて人々が困ったこと、食べ物は祖父が育てている稲から取れる米で豚と同じ生き物であることを聞く(きっかけ)。


家に帰り、親に謝り食卓に出された食事を感謝の気持ちを込めて食べる(成長した心情)。


これが物語文の基本形です。


登場人物が複数いる場合も同じです。


同級生3人が登場したとすると、3人とも心情変化を起こすこともありますし、そのうち1人だけ(主人公が多いです)が心情変化を起こして他の登場人物との違いを問う場合もあります。

また、大人と主人公が登場人物で、主人公が最初は大人の気持ちが理解できない「幼い心情」だったのが、なんらかのきっかけで大人の気持ちが理解できる「大人的な心情」に変化する場合もあります。


いずれも、問題文の「最初の心情」を表現している部分と、「変化した心情」を表現している部分をチェックできるようになれば、中学受験生としては上出来でしょう。

「きっかけ」を要約できれば申し分ないですが、「なんとなくこういうこと」という程度の理解で十分だと思います。


論説文の練習と同じように、過去の問題文などを使って「最初の心情を表現している部分」と「変化した心情を表現している部分」に、横線を引いていく練習をしてみて下さいね。

最初は、たくさん横線を引きすぎるお子さんや逆に少なすぎるお子さんがいますが、そのあたりは上手に誘導してあげて下さい。

論説文と同様、同じ文章を2、3度使用するのも、慣れないうちは有効です。


物語文でいまひとつ伸びがないお子さんや苦手なお子さんの場合は、このようなコツを体得すれば、グンと点数が伸びること請け合いです。


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