昨日のブログで、私が新入行員として長銀高松支店に配属させられたことに触れました。


昨日の流れからは思いっきり脱線しますが、アップ・トゥー・デートな話題に関連しますので当時の長銀高松支店について書きます。


約30年前のことですが、長銀高松支店の女性行員の8割以上が既婚者で、子どもが2人いる人も少なくありませんでした。


これは、長銀全体としても当時としては異常な数値で、人事部が目を光らせていました。

というのは、当時の日本の会社では、女子社員は寿退職がほとんどで、結婚後も働き続けるというケースは極めて珍しかったからです。

(今とは隔世の感があります)


ところが、長銀高松支店では、ある意味時代を先取りしていたというべきでしょうか、既婚者、子どもあり、の女性たちが主流派でした。

その原因として、地元企業に勤める夫の給料よりも女性行員の給料の方が高かったことと、夫婦いずれかの実家が近くにあって子どもの面倒を見てもらえる環境にあったということが挙げられます。


また、当時は夫の両親との同居が珍しくなかったことから、外に働きに出た方が自由度が高くて精神的に楽だったというケースもありました。


事務処理能力が最低レベルの私から見てという訳でなく、客観的に見てもベテラン女子行員は極めて事務処理能力の高い人たちが多かったという印象です。

彼女たちの多くは、地元の高松商業高校や名門受験校の高松高校から高卒で入行してきた女性たちで、私のいた時代には短大卒もいませんでした。

4年ぶりに新人女子行員を採用した訳ですから、明らかに私より年下だったのは、同期の女の子たちくらいでした(余談ですが、店頭に配属されたのは明るくてかわいい女の子たちでした)。


あるとき、本店の人事担当者による男性行員対象の1対1の面談がありました。

目的はよくわかりませんが、銀行という性格を考えれば行員たちの不祥事の有無等の調査でありましょう。

人事担当者と私の間での高松支店の女性行員についての対話は次のようなものでした。


「君さあ、高松支店だけ年齢の高い女性行員がいることをどう思う?」

「まあ、土地柄なのでしょう」

「でもね、自分より年上の女性ばかりだと仕事がやりにくいだろう」

「いえ、経験知が高い分いろいろ教えてくれたり、サポートしてくれたりするので、仕事はやりやすいです」

「ふ~ん(不満そうに)。でも、やっぱり若い女性が多い方が職場が活性化するとは思わないかね?」

「私にとっては初任地なので他の支店のことはわかりませんが、高松支店の女性行員のみなさんの多くは元気いっぱいで活発ですよ」

「もういいよ」


その後、責めることが趣味のようなドS上司の下に担当換えをするなどして、露骨なまでの魔女狩りが行われたのは、見ていて痛々しかったです。


もっとも、仕事のできる女性行員がたくさんいたのは確かな事実です。


当時の次長(副支店長)は、

「あの、支配人席秘書ほどよくできる秘書は、たくさんの女性秘書を見てきたけどダントツだよ」

と言っていましたし、とある上司も

「あのNさんはよくできるなあ。俺も長年銀行にいるけど長銀全体でもトップクラスに入るんじゃないか」

と言ってました。


私のような事務処理トラブルメーカーから見ても、高校出たての某芸能人と同じ名前の同期の女の子は、とても仕事ができました。


しかしながら、当時はそのような能力の高い女性を活用する雰囲気は全くといっていいほどありませんでした。


昨今の事情はずいぶん変わりましたが、このような男性の態度や雰囲気は様々なところで、いまだに残っているようです。

とても残念なことです。