独立・起業をしたところで、その事業がうまくいくという保証はありません。

それどころが日本の起業の成功率を考えると、失敗する可能性の方が高いでしょう。


そこで、独立・起業の時から、撤退の場合も頭に入れておくべきでしょう。


当然のことですが、設備投資などはできるだけ安価に済ませましょう。

必ずしも事務所がいらない仕事であれば、事務所を構えるのも人を雇うのも事業が軌道に乗ってからで問題ありません。


以前、ご紹介しました実家を事務所にしてコピーとファックスは近くのコンビニで済ませることからはじめた社労士の友人は、自分がら出向く営業活動をするというビジネスモデルを設計していましたので、事務所は不要でした。

(その後、年収2000万、超多忙になって現金で事務所を建てたこともご紹介しましたよね)


私自身も、事務所の備品を揃えるとき、事務用品を扱う業者さんに「最低の価格を基準にお願いします」と頼みました。

今の時代、それほど見映えの悪い品物はありませんので、最低の金額の備品でも、けっこういい感じで揃えることができました。


友人の社労士と違って相談者がやってくる仕事でしたので、オフィスは最低限揃えざるを得ませんでしたが、最近は、レンタルオフィスやシェアオフィスなども充実しているのようですので、欠かせない部分以外はできるだけ節約する方向で検討しましょう。


飲食店などの場合は、そこそこの設備投資が必要になりますね~。


ただ、消費者としての立場になればわかるように、飲食店は見てくれや店内の雰囲気で選ばれるものではありません(基本的にですが・・・)。


飲食店は、何と言っても「中身」つまり味で勝負です。

「味」が固定客をつくり、出世魚のように小さな店舗から大きな店舗に変わったり、内装を一新したような店をたくさん知っています。

逆に、「あ、感じが良さそうだな~」と思って入ったところ、期待を大いに裏切られて二度と行かなくなった店もあります。

そういう店は、いつの間にかなくなっています。


多くの方々も同じような経験をされていることでしょう。


そして、これが最も重要なことなのですが、撤退する勇気を持つことです。

撤退が遅くなって借金がかさんでしまって自己破産するしかなくなった人々をわたしはたくさん知っています。

「景気がよくなれば」「口こみが増えれば」などと、淡い期待を持っていても客観的には撤退しかないという場面はやってきます。


そのためには、独立・開業当初に「撤退ライン」を決めておくこともひとつの方法でしょう。

1年やって赤字が・・・円以上であれば撤退。

とか、

1ヶ月にお客さんが・・・人しか来ない月が3ヶ月続いたら撤退。

というふうに「撤退ライン」をわかりやすい数字で表しておくことです。


人間は弱いものです。

業績が悪くなると、客観的に考えられなくなります。

様々な修羅場を見てきましたが、どうしようもない状態であるにもかかわらず、しがみつこうとする人たちが本当にたくさんいるのです。

ひどくなると、5年以上粉飾決算をして銀行融資を受けながら、最後の最後に駆け込んでくる会社社長もいました。


それまでの努力や投入した資金は、サンクコストとして割り切って新しい事業を考えた方がはるかに建設的です。

(サンクコストというのは、戻ってこない費用のことです。無駄な公共事業だとわかっても「今まで10億円も投入しているんだ」という人がいますが、その10億円は絶対に戻ってきませんし、事業を続ければさらなる無駄金を投入することになるというのが典型例です)


ですから、最初はサンクコストになるかもしれないという覚悟で、必要最小限の設備投資に抑えましょう。

事業の「核」となる部分さえしっかりしておけば、競争に負けることはありません。

そして、頭がクールなうちに「撤退ライン」を決めておきましょう。

早期撤退は、少しでも早くあなたの人的資源を効果的な方向に向けることと、サンクコストを少なくして対外的信用を守るという大きな意味があります。

「勇気ある撤退」は「新たなチャレンジ」を可能にします。


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