どのような業種であろうと、開業すると「情報」は自分で集めなければなりません。

サラリーマンは朝礼や会議、はたまた回覧されるペーパー類から情報を得られますが、開業すればそれらも自己責任です。


例えば、ラーメン店を開業したら、こまめに情報誌に目をとおしたり、今流行っている店に足を運んだりするのは当然のことです。


私たち士業でも情報は欠かせません。

どこの誰は信頼できて、AさんとBさんは犬猿の仲、C会社とD会社は付き合いが長い・・・云々。


世間には、このような情報をたくさん集めては話したがる人たちが必ずいます。

もちろん、信憑性についてはピンからキリですが。


できれば、精度の高い情報を持っている人と仲良しになっておいた方がいいでしょう。

特に、開業当初はまったく無知な状態ですので、そういう人たちのアドバイスはとても役に立ちます。


私も、開業当初、年齢の近い司法書士さんと仲良くなって、様々な業界事情を教えていただきました。

もちろん、教えていただくだけでは「もらってばっかり」になってしまいますので、私の持っている法律知識や訴訟になった場合どのような手続になるか、などなどお役に立てる「情報」は惜しみなく提供しました(個々の守秘義務のある事項は無理ですが)。


そのうち、他の司法書士さんや税理士さんをご紹介いただき、飲食を共にしながらたくさんの優秀な人たちと知り合いになれることができました。


ここで役に立ったのが銀行員時代の営業経験です。

もともと、私は初対面の人と話を合わせるのが苦手なタイプだったのですが、銀行員時代の飛び込み営業や雑談の仕方などが大いに役にたち、割とすぐに多くの方々と友達になることができました。


自分のことばかり書いてしまいましたが、独立・起業当初はわからないことだらけです。

たとえ、同業の人のところで修行のために働いていたとしても、決して師匠と同じキャラクターになれるわけではありませんし、同じ品質のサービスを提供できるわけでもありません。


最近は、そういう弱みにつけ込む悪質商法が流行っているようですので、そういうのにひっかかったら目も当てられません。


言うまでもないことですが、業種業態によって異なるものの、紙媒体での情報収集もこまめに行うことをお勧めします。


いやしくも、独立して事業をやるのであれば、日経新聞(はたまた産業新聞など)や地方紙くらいには目を通しておきましょう。

飲食店でも、原材料価格の動向や消費者動向は知っておかないとお話しになりません。

ネットの時代ではありますが、最低限、ひとつは紙媒体を利用されることをお勧めします。

起業すれば、あれこれ検索している時間は機会費用です。

(その時間を他の仕事に当てれば得られた利益のことです)

その点、新聞は一覧性がありますので、短時間で見出しだけでも目を通すことができますし漏れがありません。


業界紙は、各業界によってクオリティーに差がありますので、実際に目にして役にたつかどうか判断しましょう。


ちなみに、弁護士業界にも「法律新聞」というのがありましたが、私としてはそれほど有益とは思えなかったことと値段が高かったことから購読はしませんでした(営業妨害になったらごめんなさい)。


このように、開業したてのころは、ヒト情報と紙情報、そしてもちろんネット情報等々に敏感になってアンテナを高くしましょう。

そして、得られた情報は惜しみなく与えましょう。

見返りを期待するのではなく、ともかく与えるのです。

「正確な情報を持った人」という評価が得られるだけでも素晴らしいことですし、多くの人たちはお返しをしてくれます(返報性の原則)。


ただし、留意しておかなければならないことは、得られた情報を自分自身で咀嚼することです。

そのまま真に受けると、間違った情報を入れてしまう恐れがあります。

特に自己の意思決定に関わる情報については、各方面から入ってきた情報をもとにして、自分なりの咀嚼をした上で意思決定すべきでしょう。


恥ずかしながら、私自身も、先輩弁護士の言うことを鵜呑みにしてしまってひどい目にあったことが少なからずあります。


行動をおこすのであれば、慎重に咀嚼してから、が原則であります。



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毎度の宣伝で恐縮です。

他人に与える印象や返報性の原則についても詳しく書いています。


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何卒、よろしくお願い申し上げますm(_ _)m