今回は、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015」(橘玲著 幻冬舎)をご紹介します。
本書は、30万部を超える超ベストセラーになった「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」の12年ぶりの改訂版です。
本書では、まず、出版業界の構造的な歪みについて説明しています。
取次、再販、などの制度が歪な形になっており、つまるところ著者が働いていた出版社でのサラリーマン人生を辞める決意をしたとのことです。
私が驚いたのは、出版社に勤めている多くの人たちがこの構造をしらなかったという指摘です。
では、著者はどのように独立したのかといえば、作家になった訳で、広い意味での出版業界人であることには違いがありません。
つまり、キャリアを生かしながらも、会社と運命共同体にならない途を選んだということなのでしょうね。
お金持ちになる方法は、資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)とのことです。
つまり、「収入を増やす」「支出を減らす」「運用利回りを上げる」ことです。
サラリーマンが金持ちになれる方法は、出世して年収を上げる、ベンチャーに就職して持ち株の上場を狙う、業者からキックバックをもらう、の3つとのことです。
いずれも、なかなか難しい選択ですね。
確実な方法は支出を減らすことです。
「金持ちケチ」だというが「ケチだから金持ちになれた」と書かれています。
もっとも、私の実体験では、創業社長は苦しい時期を経験しているので概ねムダ使いをしませんが、2代目、3代目となると大盤振る舞いをすることが多いように思えます。
資産運用については、不動産投資をするな(持ち家も不動産投資と考えます)、株式運用はインデックスに勝てないの2点でしょうか?
特に、ローンを組んで持ち家を買うことは、資産運用として好ましくないと指摘しています。
私も、ローンを組んでマンションを購入することのリスクには同意します。
運用資産のほとんどが不動産になってしまうのもポートフォリオとして問題ですし、特にマンションは管理費が必要で老朽化に伴う立て替えリスクはとても大きいですから。
生命保険も共済くらいでいいというのは同意できます。
私自身、共済しか入っていません。
サラリーマンにとっては、約束違反がまかり通っているという指摘があります。
確かに、若い時に安い給料で酷使されて、年配になったらリストラにあったりしたのでは割が合いません。
最近、日立が管理職以上を能力給にするということが話題になりましたが、あれは、若いうちに搾取されて、搾取する側になれない可能性が高いというインチキ制度だとどこかで書いた憶えがあります。
法人をつくって、低利融資を受けることや節税をすることは、多くの人たちが知っていることで、真新しいことではありません。
こういう表現は失礼かもしれませんが、基本的な知識を持たない仕事バカのサラリーマン諸氏にとって、本書は大きな啓蒙効果があります。
しかしながら、私のような弁護士や税理士などの自営業者にとっては当たり前のことばかりが書かれていて、決して「黄金の羽根」は見つけられません。
法律に疎い分、詰めが甘い面も見受けられます。
とはいえ、基本的な知識を実にわかりやすく解説してある本で(文章がとても上手です)、何となくサラリーマンやってきた人にはご一読をお勧めします。
今回は、著者の考えと私の考えが混在した書き方になってしまい、正確な意味での書籍紹介の領域を超えてしまいました。
混乱してしまった方には、深くお詫び申し上げます。
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