今回は、「ボーダー・負け弁深町代言」をご紹介します。
とある事情があって、東京で活躍していた敏腕弁護士深町代言が三重県伊勢市の法律事務所で働くことになりました。
その法律事務所は、所長は「負けっ放し」のご老人、その姪御さんで弁護士になりたての若々しい美人弁護士、世話女房タイプの中年女性事務員で構成されていました。
深町弁護士の稼ぎで、事務所はなんとか成り立つようになりました。
新人弁護士の「青くて熱い」女性弁護士が、国選で強盗傷害の事件を引き受けます。
被告人は自白していますが、彼女は被告人の無実を信じています。
(実は心に傷を負った)深町弁護士は、クールなまなざしで彼女を見ていましたが、ある時、彼女は決定的な無罪の証拠を手に入れて、青い正義感に敗北感を抱く深町弁護士でしたが・・・。
私の故郷である三重県伊勢市を舞台にした弁護士小説です。
つい買ってしまいましたが、元伊勢市民である私もビックリするくらい地域事情を把握しているのには驚きと喜びが沸き上がってきました。
軽い小説だろうと思って読み飛ばしていましたが、真相が次第に明らかになるにつれ、ついつい引き込まれてしまいました。
一級の推理小説で、真相を知って愕然としました。
ここにも、現代的な格差・差別問題が出てきて、正直言って驚いています。
(その手のノンフィクションばかりたまたま読むことになって、考え方が変わっていた時でしたので)
それにしても詳しすぎると思って、著者をネットで調べたら、なんと伊勢市在住で伊勢高校の後輩にあたる人物でありました。
しかも、司法試験浪人をしていたという経歴・・・。
この本にたどり着いたのは、今週水曜日の日経新聞夕刊で著者の新刊「テミスの求刑」が紹介されていたことによるものです。
伊勢志摩観光を考えておられる方や、弁護士小説が好きな方にとって格好の一冊です。
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宣伝です。恐縮です。
実は、私が説得力の素晴らしさに最も感化された人物は、伊藤新一郎裁判官であります(今は引退されておられるかもしれません)。
とても尊敬できる方で、その説得力というか態度は物腰柔らかくじっくり話を聴いて下さるというものでした。
弁には自信があった私でしたが、ただただ感服しました。
そこから始まったのが、相手の信頼を得る説得法であります。
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ホストクラブの研修テキストにも使っていただいているとのことです。
何卒、よろしくお願い申し上げますm(_ _)m