今の日本では、覚せい剤や麻薬は(原則として)全面禁止となっています。


最近は、危険ドラッグも厳しい規制がなされようとしています。


しかし、このような動きに反対するのは、統計データを駆使した経済学者が多いのです。


アメリカ合衆国では、大麻による死亡率は、アルコールやタバコよりもはるかにはるかに小さなものでした。


アルコールを原因とする死亡者があまりにも多かったために施行されたのが「禁酒法」です。

禁酒法時代には、貴重品であるアルコールを巡って一般人をもまきこんだ犯罪が急激に増加しました。

「禁酒法」が廃止された途端に、犯罪件数は驚くほど減少したそうです。


マリファナに関しては、オランダなどヨーロッパの多くの国で、個人の嗜好品として使用する分量は合法とされています。

アムステルダムの超一流ホテルの部屋にある外国人向けのガイダンスに、「売春の方法」と「マリファナ購入の方法」が書かれていることはあまりにも有名な話です。


これを経済学的に分析すると、覚せい剤にしろ大麻にしろ、どれだけ値段が高くとも買いたいという常習者は、闇のルートで高値で購入します。

購入費用を調達するために、窃盗や強盗という犯罪を行います。


このように、禁止薬物に対して価格硬直的な人たち(つまり、値段に関係なく買ってしまう人たち)は常習者と国が認定して、薬局で自己使用分だけ合法的に購入できるようにし、常習者でない人たちに対しては禁止するというのが、経済学的にはパレート状態であると説くのが、多くの経済学者です。


道徳的云々というのであれば、酒もタバコも禁止すべきでありましょう。

酒やタバコの方が、本人にとっても社会にとっても害悪が大きいのですから。


このように考えると、オランダ等、ヨーロッパ諸国が行っている政策は社会的効用という観点からも、反社会的勢力の資金源を経つという観点からも、極めてすすんでいると言わざるを得ません。


ニュースでは、危険ドラッグを使用して交通事故を起こしたという報道が盛んになされていますが、酒気帯びや飲酒運転で起きた事故数の方が実際にははるかに多いのです。


これはニュースのパラドックスであって(私の「造語」です)、あまりにも全国的に数が増えてしまうとニュースにならず、珍しいくらいの数になってニュースになるというものです。


自殺や電車での人身事故は、いまや滅多にニュースで取り上げられることはありません(それだけ数が増加したからです)。

逆に、交通事故のニュースは、今よりはるかに多発していた時期に比べて、たくさんニュースで取り上げられています。


現状と私たち一般人が受けるインパクトとの間には、大きな乖離があることだけは確かだといえるでしょう。