今回は、「東京自叙伝」(奥泉光著 集英社)をご紹介します。
この小説の主人公は東京の「地霊」で、鼠をはじめとする様々な生き物になり、また、同時に複数人の「私」(地霊のこと)が存在したりもします。
本書は6章で構成されており、第1章は幕末の旗本柿崎幸緒、第2章は第2次第戦中の参謀榊春彦(モデルは瀬島龍三氏でしょう)、第3章は戦後のヤクザ曽根大悟、第4章は昭和の黒幕友成光宏、第5章はバブル全盛期時代の戸部みどり、第6章は現代の郷原聖士の6人になって、それぞれの時代を極めて忠実かつ生き生きと描写していく物語です。
実在の人物も本名でどんどん登場しますし、幕末から現代に至までの日本の歴史をおもしろおかしく学べるという付随効果もあります。
三億円事件の犯人も「私」であり、秋葉原事件の犯人も「私」という、不可思議さはありますが、地霊が分散化してたくさんの「私」が存在するという前提が何度も説明されていますので、混乱することなく読めます。
分厚い本で、文字がぎっしり詰まっていますが、文章は夏目漱石の「吾輩は猫である」調で書かれており、物語の展開も巧みで飽きさせることがありません。
(夏目漱石といえば、夏目漱石の猫になったのも「私」です)
著者の作品としては、かつて「シューマンの指」を読んだことがありますが、それとは全く異なったテイストが出ている傑作です。
日本の近現代史に関心のある方には、特にお勧めの一冊です。
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宣伝です。恐縮です。
アマゾンのレビューで類書の出ない希少本と評されました。
(自慢になってしまいますが)説得にかけては大いに自信があり、客観的な評価と実績を、私は有しております。
その経験知と心理学、行動経済学の実験結果を加味した拙著は、他の学者が座学で書いた本とは一味もふた味も違ってきます。
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ということで、何卒よろしくお願い申し上げますm(_ _)m