「コークと呼ぼう、コカコーラ!」
最近は見なくなりましたが、一時期日本でも頻繁に目にするCMでした。
「コーク」という有名な商標が普通名称となって他のコーラでも使われないようにするために、コカコーラ社は、巨額の費用を投じて調査部隊を結成しました。
彼らは、アメリカ合衆国中のレストランや喫茶店で「コーク」と「コカコーラ」を注文して回り、出されたものがコカコーラ以外のものであることが判明すると、その飲食業者に
「お客が注文したときはコークだけを出すか、さもなくば、コーク以外のコーラ系ドリンクを出していることを客に説明する」
よう通告をしました。
もし、誤用が継続するか、それが甚だしい場合は、コカコーラ社は商標権侵害で裁判に訴えたのです。
実際、コカコーラ社は、年間40から60の業者を数年間訴え続け、すべての訴訟で勝訴したそうです。
小売業者の中からは、このコカコーラ社の作戦は商標権保護が主目的ではなく、小売業者を威嚇してコカコーラ社のみと取引させようという狡猾な目的であったと主張する声ガありました。
店が客で溢れかえっているようなときに、コークを注文した客一人一人に「実はペプシを出してす」などと説明していたのでは商売になりません。
訴えられるのを怖れた小売業者は、訴訟沙汰に持ち込まれるのを怖れてコカコーラだけを提供するようになる、という仕組みです。
コカコーラ社の競争相手たちは、最大手であるコカコーラ社が家内営業の零細小売店を萎縮させており、公正な競争を阻害していると主張しました。
飲食店市場でのコカコーラのシェアは80%であるのに対し、スーパーマーケット等でのシェアはずっと小さいということで。
ところが、シェアがコカコーラの4分の1以下であるペプシには、コカコーラ社のような調査部隊を持てないので、到底立証ができない有様だそうです。
かように、巨額な資金をバックに訴訟戦略を繰り返していけば、市場シェアまで奪うことができることを、コカコーラ社は世に知らしめました。
これは、若干古い本からの引用なので、今日でもコカコーラ社の『合法的な」独占が続いているかどうかは私にはわかりません。
しかし、誰もが訴訟を起こされるのはイヤです。
訴訟を威嚇手段として用いて、相手をコントロールする巨大資本のやり方は今でも十分可能です。
こういう話を耳にすると、私はいつも
「法は正義ではない。力である」
という言葉を思い出してしまいます。
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