今回も、近刊著「話し上手はいらない」の応用編です。


ある心理学の実験が次のように行われました。


実験参加者を2つのグループに分け、Aグループの人たちには悲しい映画を見せて映画の主人公になったらどう感じるかという感想を書いてもらい、Bグループの人たちにはありきたりな魚の映像を見せて、自分たちの日々の活動について書いてもらいました。
そして、映画とは無関係な調査であることを告げて、全員に蛍光マーカーセットを渡しました。
そして半数の人にはそれをいくらなら売るか、残りの半数にはいくらなら買うか、それぞれ値段を考えてもらいました。


その結果、Aグループに属していた買い手は、Bグループに属していた買い手と比較して、約30%も高い値段で買ってもいいと答えました。
また、Aグループに属していた売り手は、Bグループに属していた売り手と比較して、約33%も低い値段で売ってもいいと答えました。


つまり、悲しい映画を見て主人公になった場合の感想文を書いた人たちは、そうでない人たちより、30%の高値で買い、33%の安値で売ると回答したのです。

しかも、映画を見てから価格の判断を行うまで、感情の高まりが持続していたことに、参加者は自分ではまったく気づいていなかったことも明らかになりました。


つまり、人間は、悲しい映画を見て感想を書くという作業をしただけで、通常の精神状態の場合より約3割、寛大になるというか、弱気になるというか、ハードルが下がるのです。


たった、悲しい映画と感想書きだけのことでですよ!


もし、仕事で大失敗したり失恋したりしで悲しく落ち込んだら、人間のガードの下がり方ははるかに大きいでしょう。


こういう精神状態の時は、当然のことながら人間は普段よりずっと「寛大かつ弱気」になります。


そういう精神状態にある異性を優しく慰めてあげれば、恋が芽生える可能性は劇的に高くなります。


普段は、「まあまあ普通」と思われていたあなたが、悲しくて落ち込んでいる時には優しくて思いやりのある人に思える上に自己評価が低くなってますから、「とても素敵」に格上げされてしまうのです。


よくある話ですよね。


失恋した異性を慰めている間に恋が芽生え、結婚に至るということが・・・。


このように、心理学的にメカニズムをバラしてしまうとロマンもへったくれもなくなってしまいそうですが、世の中であまりにも多いパターンなのです。


逆に、自分が悲しい状態にあるときは気を付けましょう。

とんでもない異性とのっぴきならない関係になってしまう恐れがあるからです。

万一、相手がストーカー的な人物だったら、前回の保有効果が相手に働き、人生を台無しにされてしまうという最悪のケースもあり得ますので。



このように、拙著はあなたを人生の危機から守る役割も果たします。

そう考えれば、安い出費でしょう。

ただし、人間は忘れる動物です。

(私もたくさん本を読みますが、驚くほど内容を忘れてしまいます)

1回3分~5分でいいですから、大事な仕事前やデート前にパラパラ眺めて下さい(以前も書きましたが)。

そうしておくと、今回のような突然のアクシデントにも対応できます。


話し上手はいらない~弁護士が教える説得しない説得術/ディスカヴァー・トゥエンティワン
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長々とした宣伝で恐縮です。

しかし、真実です。

何卒よろしくお願い申し上げますm(_ _)m