今回は、「弁護士が勝つために考えていること」(木山泰嗣著 星海社新書)をご紹介します。

尊敬する著者の木山先生から直接献本いただきました。

木山先生、ありがとうございます。


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民事訴訟は「ゲーム」です。

ルールを知っている(できれば腕のいい)弁護士に依頼した方がいいでしょう。


民事訴訟は「書面でほぼすべてが決まる」と言っても過言ではありません。


腕のいい弁護士は、わかりやすい文章を書きます。


もっとも有効な弁護士の探し方は、弁護士の友人をもっておくことです。


第二審である高裁では「控訴棄却」がほとんどですから、民事訴訟は一発勝負と考えた方がいいでしょう(第一審が重要)。


訴えられると、訴状ではあなたが被告となりますが、刑事事件の報道で使われる「被告」ではありません。あくまで、訴えた方を「原告」、訴えられた方を「被告」と呼ぶだけです。


裁判官は、常識的な「結論」を最初に考えて、それから理由を考えます。


裁判官は、個々の弁護士に対しても「いい弁護士」「ダメな弁護士」というバイアスを持っています。


裁判係属中は、過去の出来事について何度も蒸し返され、その都度いやな思いをします。できれば裁判は避けた方がいいです。


図らずも紛争に巻き込まれたりしないように、喋ったことは全部録音されている、送ったメールはすべて保存されている、くらいの慎重さがあった方がいいでしょう。


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本書は、法律的なことを知らない一般人を対象に、民事訴訟とはどのようなものか、というのをできる限り平易にかみ砕いて説明しています。


また、裁判官が個々の弁護士を評価しているという内部情報も書かれています。

これは事実です。裁判官は個々の弁護士を何段階かで評価し、後任に申し送り事項にしています。もっとも、弁護士会の方も逆に裁判官の評価アンケートを会員弁護士から取ったりしていますが・・・。


友達の弁護士から弁護士を紹介してもらうのがいいというのが本書の立場ですが、私は個人的にこれには賛成できません。

弁護士の中には、同業者の間では親切でいい人でも依頼者に対しては高圧的であったり強引な人物が少なくないからです。

弁護士の紹介は、木山先生にお願いして下さいね(笑)。


本書は、イラストやマンガが挿入されていたり重要部分の文字を大きするなど、わかりやすくしようという工夫が随所になされています。

もちろん、木山先生の文章はとてもわかりやすいです。


民事訴訟の初心者だけでなく、一般の方もイザという時のために一読しておいたほうがいい一冊です。


弁護士が勝つために考えていること (星海社新書)/講談社
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