楽しかった幼稚園へのお迎えも終わり、娘は小学生になった。


小学校の入学式で校長先生が、

「ゆとり教育で週休2日になります」

「マンガでもいいですから、たくさん読ませてあげて下さい」

と言ったことだけを、ぼくは今でも憶えている。


ド田舎に建てたぼくの家から小学校まで、子どもの足で30分くらい。

最初のうちは心配したが、近所の子どもたちと連れだって登校し、下校時は同じ学年の「サオッチ」(あだ名です)と一緒に、あちこち寄り道して帰ってきた。


家と学校の間にガソリンスタンドがあり、帰宅時に娘やサオッチはよくトイレを借りたそうだ。

スタンドにいた人たちはとても優しく、いつもニコニコ迎えてくれたと聴いて、

「あ~、この世知辛い世の中でも、優しい人たちはたくさんいるんだな~」

と、ぼくは心温まる思いになった。


それにしても、宿題というものはほとんど見たことがなかった。

まあ、小学校1年生だからこんなものなのだろう・・・と、ぼくは勝手に納得していた。


夏休み。


小学生の時、ぼくたちは「夏休みの友」というような冊子を配られて、毎日のことか天気のことを書くようになっていた。

もちろん、真面目に書くわけもなく夏休み終了間際になって、慌てて適当に書いた記憶しかない。


娘にも当然そのような冊子があるのだろうと予想していたが、今のぼくの記憶の中には存在しない。

娘も、ぼくに似て決して几帳面な性格ではなかったので、夏休み終了間近に慌て出すはずだが、その記憶もない。


本当に、暇そう~な毎日を過ごしていた。


夏休みは朝から晩までなので、さすがに相手をしてやることはできない。


そこで、「らんま1/2」(当時はまだ完結していなかったけど相当数あった)を、ある分全部読ませることにした。

当時は、アマゾンにも馴染んでいなかったし、娘の好きな物語本は大抵読み終わっていたからだ。


娘は、「ルミックワールド」に完全にはまってしまった。

独特のギャグに大笑いし、頻繁に登場人物の真似をした。


宿題の「読書感想文」は「らんま1/2」の読書感想文を書いたほどだ。

確か、3重丸しかもらえなかったような気がする。


それどもぼくとしては十分だった。

夏休みに一番熱心に読んだ本の感想を書くのが一番だと、ぼくは思っていたからだ。