本日は、「仮想通貨革命」(野口悠紀雄著 ダイヤモンド社)をご紹介します。
本書は、ビットコインに関する説明とビットコインが普及するようになった場合の社会の変化について著者の予想を述べたものです。
ビットコインというと、マウントゴックスの破綻という事件があってから日本では怪しげなイメージがつきまとっています。
しかし、同社の破綻は、単なる両替所の破綻に過ぎず、ビットコインの存在自体には何の影響もありません。
ビットコインは、アメリカ等では急速に普及しており、約1600の「実店舗」(仮想店舗ではない)がビットコインを受け入れています。それも大半は1年以内に受け入れはじめています。
「フォーブス」誌の女性記者が、1週間ビットコインだけで生活したという手記もあります。
ビットコインは中央銀行の信用の裏付けはありませんが、そのことは全く問題になりません。
システム上、登記簿のように記録が残るようになっており、信頼性が確保される仕組みが作られています。
もちろん、先行しているのはビットコインですが、同じような仮想通貨が今後たくさん出てくる可能性はあります。
現在の現預金やカードと比れば、ビットコインは送金手数料などが格段に安く、特に海外送金では絶大な威力を発揮します。
当然、金融機関は大打撃を受けます。
しかし、ビットコインは社会に革命を起こす出発点に過ぎません。
ビットコインのシステムを使うと、ホワイトカラーのオートメーション化が可能になったり、小企業や個人が旧来の大企業を淘汰してしまうこともあり得ます。
中でも、ドットコム企業はシステムの進化によって滅ぼされる可能性が高くなります。
このように、ビットコインはIT革命以上のインパクトを短期間で成し遂げてしまう可能性を秘めてます。
私の感想といたしましては、本書を読む前はビットコインというものに対して懐疑的な見方をしていました。
ところが、本書が指摘するように、ビットコインはアメリカをはじめとする海外の国々で現金やカードのように使われはじめており、その手数料の格段の安さを考えると、近い将来あっという間に普及する可能性を秘めています。
ビットコインとそのシステムの普及は、IT革命以上の変化を社会にもたらし、私たちの生活を一変させる可能性を秘めているものかもしれません。
その可能性が否定できない以上、チャンスと捉えるかピンチと捉えるかは別として、私たちの未来予測の材料として考慮しておく必要があるでしょう。
本書は、正直申しまして(コンピュータ用語なのでしょうか)知らないカタカナ文字が多すぎて、スラスラ読める本ではありません。
著者ができるだけわかりやすく解説しようと努力しているのが痛いほどよくわかります。
しかし、ビットコイン後進国である日本に住んでいる私たちとしては、是非、一読しておく価値のある本だと思います。
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