本日は、「最高の戦略教科書 孫子」(守屋淳著 日本経済新聞書)をご紹介します。


本書も、ビジネス書ベストセラーに長く鎮座してますので、多くの方々がお読みになったのではないかと思います。


本書の内容はⅠ部とⅡ部に別れていて、Ⅰ部には「孫子はそもそも何を問題とし、何を解決しようとしたのか」というタイトルが、Ⅱ部には「孫子の教えをいかに活用するか」というタイトルが付されています。


Ⅰ部では、孫子の兵法を文語体と平易な口語体で記載してその意味を解釈し、ケースに応じた解説が加えられています。


解説が、現代のビジネスに当てはめるとこうなる、とふうにビジネスへの当てはめがなされているのが大きな特徴といえるでしょう。

ジャイアンツのエースだった江川卓氏、極真空手の増田章師範、ラグビーの松尾氏など、そうそうたる面々のインタビューが掲載されている他、著名なビジネス書や戦略書などから引用された多くの指導者や選手たちの言葉が引用されています。

孫子の兵法のひとつひとつが、主に現代のビジネスシーンにおいて、どのような意義を持つのかについて逐一解説がなされています。


Ⅱ部では、実際のビジネスシーンなどで孫子の兵法をどのように活用するか、ということが具体的に述べられています。


多くのビジネスパーソンが抱く疑問や企業が直面する様々な問題、はたまた経営者が考える問題・・・等々について、孫子の兵法の教えをいかに活用するかということが書かれています。

大企業、中小企業、経営者、部下・・・それぞれが頻繁に直面する問題を、孫子の兵法を引用しながら、検討し解決していきます。


Ⅰ部Ⅱ部を通して、著名なビジネス書や戦略書からの引用が多く、引用文献がすぐ左側に記載されているので「ああ、この部分はこの本から引用されているのか」ということがすぐに理解でき、他のビジネス書等の理解が深まります。

もっと極論してしまえば、引用されている数多くのビジネス書の中のエッセンスの一部を、本書一冊で読めてしまうような「お得感」を感じることができます。



本書の著者である守屋淳氏の著書は、私の処女作である「男と女の法律戦略」(講談社現代新書)を書くにあたって多いに参考にさせてもらいました。

著者の文章は平易で読みやすく、かつ文章力が優れているので誤解してしまうようなことはまずありません。

また、孫子の兵法の解釈で、著者自身が悩んでいる部分はそのまま「悩み」として書かれてあり、裏を返せばいいかげんな解釈でお茶を濁すようなことがなされていないことを物語っています。


大企業や中小中堅企業の経営者やその他のビジネスパーソンに、特にお勧めしたい一冊です。


最高の戦略教科書 孫子/日本経済新聞出版社
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男と女の法律戦略 (講談社現代新書)/講談社
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著者の他の著作を参考にして書いた私の処女作です。

男女間の駆け引きに関して、類書はあまりないと自負しています(PR)・・・(^^;)