本日は、短編集をご紹介します。
短編集なので、あらすじは書けません。
個人的な感想だけ書かせていただきます。
まず「幸福な生活」(百田尚樹著 祥伝社文庫)をご紹介します。
今や、売れに売れている人気作家百田氏の短編集のひとつです。
本書の最大の面白さは、最後の1ページに隠された「どんでん返し」です。
「おそらく、こういう結末なんだろうな~」
と、想像しながら読んでいると、当たるものもあったり、意外な展開に驚かされるものもあったりで、面白くて次々と読んでしまいます。
さすが、百田氏だけあって文章もうまく、ストーリーの展開も見事です。
放送作家の面目躍如といっては失礼かも知れませんが、全てのストーリーがとても上手にまとまっています。
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次は「波形の声」(長岡弘樹著 徳間書店)です。
この作品も、まったく関連性のない短編を集めたものです。
全作品の共通点としては、「どんでん返し」もしくは「意外な結末」に終わることでしょう。
軽く読めますが、正直、あまり印象に残るような作品はありません。
やや消化不良ぎみになるものもあり、著者の他の長編小説に比べるといささか物足りなさを感じます(失礼)。
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最後は、ご存じ、世界の村上春樹の最新作「女のいない男たち」(文藝春秋)です。
多くの方が既にお読みのことだと思います。
本書も独立の短編集ですが、「まえがき」で著者が書いているように、女のいない男たち、というひとつのテーマでくくられています。
個人的には、”女を失った男たち”という表題の方がふさわしいと思うのですが。
本書は、今までの村上作品にあったような一種の”異次元世界”のようなものがあまり登場せず、素直に(?)読む進めることが出来ます。
私のような年齢の男が読むと、”懐かしさ”や”切なさ”が尾を引くような作品もあり、著者のナイーブさ、繊細さ、優しさを感じることの出来るような気がします。
あえて、私なんぞがお勧めするまでもない作品でしょう。
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