昨日は予習の重要性について書きました。


ということで、本日は、復習の方法について書いてみたいと思います。


復習という点では、娘が中学受験生だった頃の「SAPIX」の方法が実に素晴らしかったと記憶しています。

今では、教材の名称などが変わっているかも知れませんが、あの復習システムは健在でしょう。


当時のシステムをご紹介しますと、次のようなものです。

(主に算数ですが・・・)


授業が終わると、その授業で扱った分野の宿題が出されます。


1週間後の算数の授業の時までに宿題をこなさなければなりませんので、1週間以内に当該分野の復習をすることになります。


記憶がはっきりしませんが、2週間後か3週間後に、当該分野の小テストが行われます。


翌月の日々の演習では、当該分野を含めた前月分の復習をすることになります。


1ヶ月に1回、主に前月の範囲を確認する模試が行われます(1ヶ月おきに、範囲ありの模試と範囲なしの模試がありました)。


優先順位は、日々の演習を最優先するように指導されていました。


つまり、模試を別にしても、忘れないうち(1週間以内)に宿題で1回目の復習を、そろそろ忘れかけた頃合いに小テストで2回目の復習を、定着させるために翌月に日々の演習で3回目の復習を、それぞれ課していました。

なんといっても、頭に定着させて長期記憶にしてしまうことが大切ですので、日々の演習を最優先に指定していた訳です。


私は、このシステムを聴いたとき、あまりの合理性に驚いて、

「このシステムがあれば、完全なマニュアルを遵守しているマクドナルドのように、いくらでも均質な教室が作れますね~」

と、大変失礼なことを言ってしまった程です。


人間は忘れる動物です。

1度学習しても、エビングハウスの忘却曲線のように、急速に忘却が進み、一定割合しか記憶に残りません。


それを、いつでも引き出せる「長期記憶」として定着させるためには、どうしても復習という作業を欠かすことができないのです。


心理学的には、憶えたすぐ後に復習をするより、憶えてからしばらく経ってから(3日~1週間くらい)復習をした方が、記憶の定着には有効だそうです。


例えば、毎日、NHKの英語講座を聴くとしたら、前々日の復習をやってから新しいセッションを学習し、1週間の総まとめで2回目の復習をし、1ヶ月後くらいに、3回目の総復習をするというのが極めて効果的でしょう。

それを考えてNHK出版が、テキストを月に1冊にしているのかどうかは判りませんが・・・。


実は・・・私は復習という作業が大嫌いでした。


どんどん前に進んでいくときは、やっているという実感が感じられるのですが、復習というと、何だか後ろ向きのような気がしてやる気がなくなったのです。

今ではとても反省しています。


ところが、学校や予備校というのは、私のような人間がたくさんいることを斟酌してか、定期的に小テストをやったり、学校だと中間、期末テストで既習範囲を復習せざるを得ない仕組みになっています。


私が、司法試験受験時代の学習のペースメーカーにしていた模試も、模試を受ける直前に当該模試の範囲を1回復習し、模試の答案が返却された時に(当然、点数や間違ったところを確認しますので)2回目の復習をすることになりました。

更に、返却が終わってから1週間くらい後に「講評」という講義があって、3回目の復習になりました。


合格した年の勉強では、私は2つの予備校の模試を受験し、1週間で合計4回の模試を受けていました。


異なる予備校でしたので、A予備校では憲法の模試を、B予備校では民法の模試を、というふうに2つの科目の模試を1週間で2回ずつ受験していました。

異なった科目を受験するということは、1週間で2科目について復習をしていることになります。

(初回の司法試験受験の際、論文試験前に、とりあえず全科目回していましたので、合格した年、つまり2年目の学習は一応復習ということになります)


当時の予備校の模試は、半年で全科目回すようなスケジュールになっていました。

つまり、1つの予備校の模試だけを受けていると、最初に受験した範囲は(極端な話)、受験後、半年間は放置されることになります。


私は、半年間も放置してしまったのでは忘れてしまうと危惧し、2つの予備校の模試を掛け持ちして、1週間に異なる2科目の復習効果を狙ったのです。

しごく単純に考えれば、放置期間を半年の半分である3ヶ月に短縮したことになります。


私のように、自主的に復習をするのが嫌いな方は、予備校などの模試を活用して”無理矢理にでも”復習する機会をつくってはいかがでしょう。


高校受験や大学受験では、模試は付きものです。

勉強が間に合わなくても、前日(場合によっては当日)の泥縄勉強でもかまいませんので、模試は必ず受験しましょう。

心配しなくても、模試の成績は本試験の合否には全く影響を及ぼしませんから。


社会人で資格試験を目指している方々も、予備校等が主催している模試だけはどんどん受験しましょう。復習効果だけでなく、本試験の慣れにもなりますから。


以上のように、復習は「SAPIX」メソッドのように間隔をおいて3回くらいやるのが理想的です。

そのようなメソッドがなければ、模試を(出題範囲を斟酌して)効果的に利用すれば、十分な復習効果が期待できます。


最悪なのは、模試も受けずに、延々とテキストを読んで、読みっぱなしにしてしまうことです。

がんばってテキストを読んだ時間と努力の多くが、内容が頭に定着せず失われてしまうのは、あまりにももったいない事ですから。