試験勉強にテキストは必須のものです。


テキストは、最初から読んでいくことが多いのですが、最初から読んでいくのはせいぜい最初の1,2回でいいのではないでしょうか?


ある程度、その科目というものが理解できたら、どんどん問題演習をしましょう。

もちろん、過去問が中心になることは言うまでもありませんが、中学受験生~大学受験生のように、過去問を解くに至るまで授業や学習が付いてこない場合は、テキストや授業でやった範囲の問題演習をやりましょう。


そして、問題演習でよくわからなかったり、憶えていなかった部分をテキストに戻って調べるのです。

そういう意味では、問題演習の解答部分にテキストの該当ページを書いてくれてあるものを用いるのが効果的です。

同じ出版社で、テキストと問題集が対になっているようなものだと、そういう工夫がされていることが多いですが、そうでない場合には、テキストの索引と目次をフルに利用しましょう。


テキストの索引と目次は、何度も何度も繰り返し”辞書”のように使うと、必ずあなたの力になるものです。

特に、体系的な法律科目や時系列的な歴史科目などは、目次を頻繁に見ているだけで、テキストの構造、ひいては体系や時系列が自然に頭に染みこんできますので、効果絶大です。

かつて、資格三冠王を取った黒川氏の書いた本に、『目次をコピーしてテキストの表に貼っておく』という記載がありました。

私の司法試験受験時代には、それを又聞きしたかなりの数の受験生が、テキストの表面に目次を貼って、破れないようにその上にビニールのカバーを貼っていました。

私はそれを真似せず、事あるごとに目次を開いていました(その方が、結局頭に残りましたので・・・)。


問題演習や模擬試験で、はっきりしなかったところや間違えたところは、解説にテキストのページが引用されていなければ、テキストの索引、目次を引いて該当箇所を探して、チェックを入れたり、書き込みをしたりしました。


このように、問題演習や模試をやる度に、テキストの該当箇所にチェックや書き込みをしていくと、何度も何度も同じ箇所に出くわすものです。

何度も出くわしているうちに、その部分を憶えてしまいます。

問題演習や模試で何度も問われている部分は重要部分ですので、この方法を繰り返していけば、自然にテキストの中の重要部分にはチェックや書き込みが増えてくることになりますよね。

すると、最初は平板だったテキストが、チェックや書き込みの詰まった重要部分とそうでない部分に区別されます。


そこまでテキストを加工してしまえばしめたもの。

時間がないときは、チェックや書き込みの多いところだけを読んでいけばいいのです。

おそらく、それだけで模試や本試験でも相応の点数が取れるはずです。


かつて流行った本に、一冊のノートにすべてを詰め込もう、という内容のものがありましたが、あの方法はお勧めしません。

転記や切り貼りに必要以上の時間がかかってしまうからです。

その上、受験という観点から考えると、漏れがたくさんできてしまいます。


その点、テキストに情報を集中するやり方は、手間がかからず、チェックなどがない部分も残ります。

チェックした部分などを重点的に読むにしても、それ以外の部分にも自然に目がいきますので、漏れが生じる恐れがありません。


余談になりますが、学習においては、できるだけ「作業」をしない方が効率的です。

小学校の頃から高校や大学にいたるまで、とても綺麗な年表を書いたり、色とりどりのノートを作成している人を見たことがないでしょうか?

そして、往々にして、そういう人たちが、思ったほどいい成績が取れていないということを・・・。


そういう人たちは「作業」ばかりに時間を取られ、肝心の記憶したり理解したりする時間が少ないのです。

同じ1時間でも、半分以上「作業」に割いてしまうと、実質的な学習時間は30分もないことになってしまうのです。


そんなバカバカしいことをやらず、テキストをどんどん加工していきましょう。


目標は、試験前日に、試験日に実施される全科目のテキストに目を通すことができるくらいになることです。


私は、司法試験論文試験の3日間、1日目と2日目が終わったのが夕方でしたが、翌日の科目のテキストに最低2回は目を通すことができました。


常日頃から、前日に”ながめる”テキストに情報を集中していたことと、チェックなどでメリハリをつけていたことが効を奏したのです。


前日に2回も目を通した範囲の中から出題されるのですから、「確か、あれ、憶えていたはずなのにな~」という悲劇は一度もありませんでした。


中学受験~大学受験では、英語、数学、国語のように、記憶だけでは対処できない問題が出題されます。

それでも、前日にひととおり目を通す単語集、解法集、古典文法、漢字などのように、前日の効果がそのまま試験に現れる部分は必ずあります。


せっかく勉強したことですから、本試験で生かせないのはとてももっったいないことです。

そのようなことのないよう、常に本試験を意識した学習を心がけましょう。