受験生の中には、どこで勉強すればいいか迷う方がよくいます。


社会人で家庭を持っていたりすると、まとまった書斎を確保するのが困難な場合が多いのではないでしょうか?

仮に、勉強部屋が確保できたとしても、自宅だと周囲に趣味関係や遊び関係の雑誌や道具がたくさんあって、ついついそちらの方に気が散ってしまうという方も少なくないでしょう。


一定時間、机に向かって集中するというのは、慣れるまでは案外難しいものです。


娘が中学受験の勉強を始めた頃、机に向かってじっとしていることができませんでした。

やむなく、私が椅子を持ってきて娘の部屋の後ろに座り、経済学の本や英字新聞を読んで、”監視”することにしました。

(おかげで、私はスティングリッツの経済学入門を読破できました)


娘は、最初の1週間くらいは、後ろにいる私にあれこれ話しかけてきました。

それを「終わるまで静かにやりなさい」と言って遮断すると、敵もさるもの、次は「お父さん、ここがわからないのだけど」と尋ねてきます。

最初のうちは、その度に教えていたのですが、これは娘の狡猾な罠だと知って、「全部終わって、もう一回考えてもわからなければ教えてあげるから、それまで一人でやってなさい」と言って、一区切り終わるまでじっとしているよう命じました。


ついに万策尽きた娘は、指定した部分を終わらせるまでの間、黙って机に向かって勉強することができるようになりました。

”監視”を始めてから10日くらいかかりましたが、その後は、さほど苦痛を感じている様子もなく、自然に集中できるようになりました。


これは、私たち大人も同じです。

試しに、毎日1時間、集中して試験勉強のテキストに向き合ってみて下さい。

最初のうちは、15分くらい経つと”そわしわ”してきて、何となく携帯電話が気になったり、雑誌が気になったりして、集中が続かないものです。

ましてや、たまの休みの日に、

「さあ、今日は夕方まで試験勉強をがんばるぞ!」

と張り切っても、おそらくお昼ご飯あたりで挫折してしまうのが関の山です。


かくいう私も、司法試験の受験勉強を始めたとき、長時間、集中して勉強を続けることがなかなかできませんでした。


そこで、大学の図書館を利用するようになったのですが、それでも同じ座席で朝から夕方まで居続けるのは苦痛でした(もちろん、1時間に1度くらいの頻度で休憩は入れていました)。

仕方がないので、午前中は3階の暗めの大部屋で「読む作業」に集中し、午後は4階の明るい部屋で問題集を解いたり、テープを聴いたりしていました。


予備校の自習室や空き教室、はたまた有料自習室なども大いに利用して、学習環境で退屈しないよう、あれこれ工夫しました。


通勤電車で長時間座れる方は、そういう意味ではかなりラッキーです。

電車の座席に座ってこなせるくらいの教材(新書程度の大きさの本等)を常時読んだり、憶えたりするだけで、通勤電車が勉強部屋に変わります。


ちなみに、私は、旧長銀に勤務していたとき、朝は日経新聞、夜は山崎豊子の文庫本を毎日読んでいました(その結果、山崎豊子の文庫本は当時出てきたもの全てを電車内で読破しました)。

通勤電車で座るにもコツがあります。

途中駅でおりる人の顔を何人か憶えておいて、その人の前に立っていると、乗り換え時に必ず座れます(たまにいないと、『あの人病気なのかな~』などと心配したりしました(笑))。


歩く時間が長い人は、是非とも音声教材を利用しましょう。

歩いていると学習効果が高くなりますし、目の前の景色が変わっていきますから、移りゆく景色とリンクして音声教材の内容が頭に残ります。


中学受験生や大学受験生でも、塾や予備校の空き教室を積極的に利用しない手はありません。

大学受験予備校などは、大手なら必ずきちんとした自習室がありますし、中学受験塾でも空き教室を開放している塾がたくさんあります。


娘は、小6の時、長期休暇の空き期間などに、早稲アカの空き教室に通って勉強していました。

そこで知り合った優秀な受験生に触発されて、やる気が倍増したようです。

もちろん、娘も私の通った有料自習室を利用しましたし、親子でお世話になったことから、受付のオーナーの人たちととても仲良しになりました。


このように、勉強するには”自分に適した空間”というものがあります。

人それぞれによって異なりますので、一概には言えませんが、家の外で周囲の人たちが学習しているような環境(図書館や自習室など)が、私も含め、多くの方々にとっては集中しやすいのではないかと思います。


今の環境を嘆いたり、変えようとするより、まずは外に目を向けてみましょう。

リフォームもどきをして無理矢理狭い書斎を作るより、はるかに集中できるスペースが意外なところに存在するものです。


余談ですが、私は一時期、漫画喫茶で勉強していたことがありました。

周りの人たちは漫画を読んでいて静かでしたしたので、集中できる環境として意外に適していたからです。


学習スペースは、このようにあれこれ考えて試してみれば、いくらでも見つかるものです。

今の環境に不満のある方は、是非、あれこれ試してみて下さい。

多少時間がかかっても、電車に乗っている時間等をうまく利用できれば、図書館に足をのばした方が、結果的に時間の有効利用になることもありますから・・・。