数年前から、いわゆる「別れさせ屋」という商売(?)が繁盛しているようです。


しかし、よくよく考えてみれば、配偶者の不倫相手は、あなたに対して民法上の不法行為を働いている訳であり、あなたには相手方に対して慰謝料請求をする権利があるのです。


先ほど、グーグルで検索してみたところ、「別れさせ屋」に支払う費用は表面上ではありますが、50万円程度は必要なようです。


私自身の例を挙げますと、不倫相手に対して慰謝料請求をする場合の着手金は30万円と消費税で、成功報酬は取れた額の1割です。

その際、依頼者が望めば、「今後、甲(依頼者)の配偶者とは、架電、メールその他、いかなる手段であっても、連絡、交流をしないこと」という和解条項を入れたりもします。

実質的に別れる事の誓約であり、万一、別れなかった場合はもっと高額の慰謝料請求をするという約束事です。


今までの確率で考えますと、9割以上が慰謝料を支払ってきますので、仮に平均200万円だとしても、弁護士費用は着手金と成功報酬を合算して50万円と消費税。

あなたの手元に支払われるのは、150万円弱という計算になって、別れさせるだけでなく、金銭的な利益も得られる訳です。


一度、300万円の慰謝料をいただいて、成功報酬の30万円と消費税を差し引いた270万円弱をお渡しした依頼者がとても驚いて言いました。

「私が、こんな大金をいただいていいのですか?そのまま、持って帰って問題ないのですか?」


それに対し、私が、

「これは、あなたが苦しんだ代償ですから、あなたには受け取る権利があるのです」

と説明しても、依頼者はなんだか「狐につままれた」ような顔をしていました。

着手金も含めれば、依頼者が得た金銭的利益は250万円弱となりますが、依頼者の方は、手渡された現金を見て、いささか狼狽しているようでした。


別れさせ屋さんにとっては、大変な営業妨害になるかもしれません。


しかし、不貞行為の相手方から慰謝料をもらうのは、配偶者としての当然の権利なのです。

自らの権利に気づくことなく、安易に「別れさせ屋さん」にお金を払って依頼をするのは、いかがなものでしょう。


まずは、弁護士に相談しましょう。

弁護士によって、着手金や報酬金の額は異なるかも知れませんが(日弁連の報酬基準が独禁法に抵触するとのことで廃止されましたので)、仮に慰謝料を取れなくとも、多くのケースでは弁護士依頼のほうが安上がりになるものと考えます。


私は決して日弁連の回し者ではありません(それどころか、毎月の高額な会費の無駄使いには辟易としており、変わらない日弁連の体質には立腹するばかりです)。

しかし、正当な権利であるにもかかわらず、その権利を告げることなく、手数料をせしめて(権利者の)救済を謳うような商売には我慢がなりません。


市役所や区役所では、ほとんどのところで無料法律相談を行っています。

怪しい業者さんにコンタクトする前に、是非ともそういう機会を利用していただきたいと切に願っています。