法律の格言に「法は家庭に入らず」というものがあります。


つまり、家族間のことは家族間のルールに委せ、むやみに法を適用すべきではないという趣旨です。

それを反映した法律として刑法244条があり、窃盗罪などが配偶者、直系血族、同居の親族の間でなされた場合は「刑を免除する」と規定されています。


しかし、今日このような規定があるのはいかがなものでしょうか?


例えば、放蕩息子が老母のお金数千万円を盗んで浪費してしまったような場合、老母が処罰を望んでも息子は刑を免除されてしまうのです。


私は、今日の実情に鑑み、原則として「法は家庭に入り」、例外的な場合として「家族間の状況を考慮して」特別扱いするのが正しい方向性だと思っています。


かつては、「法は家庭に入らず」というのを錦の御旗にして、家族間の暴力沙汰などを警察などはスルーできましたが、今ではDV防止法というれっきとした法律があります。児童虐待防止法もあります。


その背景にはDVや児童虐待の急増があり、このような状況下で法が家庭に入らなければ大変なことになってしまいます。


ですから「法は堂々と家庭に入り、事情に応じて特段の配慮をする」というのが今日の実情にあっているのではないでしょうか?