あなたのとめていた自転車が車に当てられて動かなくなってしまったとしましょう?

(あくまで自転車だけです)


おそらく相手は

「すみません・・・修理代を弁償します」

と言うことでしょう。


『しょうがないなあ・・・』と思って自転車屋さんで修理してもらって、かかった修理代を相手に示し、その金額だけを支払ってもらって終わりになるのが普通でしょう。


しかしちょっと待って下さい。


あなたは、自転車を自転車屋さんに持って行き、修理してもらっている間待っているか(数日かかる場合はその間自転車のない不便な生活を強いられ)、事故が起こった日に予定していた買い物ができなかったのではないでしょうか?


つまり、自転車の修理代以上の損害を被っているはずです。


これは、人身事故の慰謝料についても同じことが言えます。


保険会社は、あなたに弁護士が付くまでは1回の通院として数千円程度しか提示しません。

(保険会社基準と裁判基準には大きな差があり保険会社基準は極めて低くく、被害者に代理人弁護士が付くまでは保険会社基準で押し通そうとするのが保険会社です)。

保険会社が関係しない加害者の中には、被害者に慰謝料のことを敢えて知らせないとんでもない輩もいます。


しかし、痛い思いをしたあなたは、通院の日だけの慰謝料で我慢できるのでしょうか?

また、休業損害は認められますが、今の日本の会社ですと多少の痛みを押しきって通勤する人が普通でしょう。

通勤して痛い思いこらえながら働けば休業損害は一銭ももらえません。


裁判になれば、このような事情も十分斟酌してかなりの慰謝料が認定されますが、実際に裁判を起こすのは(弁護士費用がかかるなど)一般人のあなたにとってハードルが高いのが実情でしょう。


交通事故に限らず、損害賠償、わけても慰謝料の算定に当たっては機会費用(自転車の例であれば、無駄にした時間で得られたであろう金銭など)や、人身事故の例であれば裁判所で認定されるであろう金額を基準を省令などで定めるべきでしょう。


今日、弁護士を依頼できない人や、弁護士を依頼できる資力があっても弁護士費用との兼ね合いで依頼をあきらめる人がたくさんいるのが実情です。


人間は機械ではありません。

何日間も痛みに耐え、しかも家族にまで負担がかかるケースがほとんどです。


米国で認められている莫大な懲罰的損害賠償が、(賠償額の多寡は別として)いずれ日本でも認められるようになると私は信じています。