最近、経済学で「情報格差」というものが頻繁に語られるようになりました。


たとえば、精密な機械の「売り手」とそれを買う「素人」の間には、明らかにその機械に対して持っている知識の量が異なります。

つまり、「売り手」の方が「情報優位の立場」にあり、その格差を是正しないと「買い手」は損ばかりしてしまうことになります。


その格差を是正するために、知識に乏しい消費者を保護するために、消費者保護法などが整備されつつあるのが今日のトレンドです。


就職市場では、就職希望者自身のことについては、本人の方が会社よりも圧倒的に「情報優位の立場」にあります。

本人しか知らない事実は莫大なほどあるにもかかわらず、会社側が本人について知りうる機会はエントリーシートに書かれたことと面接で得たわずかな情報程度ですから。

いきおい、学校名や成績、所属していた部活などの客観的な大枠を企業は関門として設け、あとは自分についての情報を要領よく伝えた希望者が就職に成功します。


では、結婚についてはどうでしょうか?


恋愛の場合、「お試し期間」でももうけない限り、男女双方ともに自分の側の情報については圧倒的に有利な立場にあります。

1週間に1,2度、数時間合っているだけなら、自分に都合のいい情報だけを(場合によってはねつ造した情報を)、相手に提供することもできます。


「婚約したとたん、結婚したとたん、相手が変わってしまった」


という話を私はたくさん聴きましたが、その原因の多くは相手に対する情報を十分に得ていなかったり、都合のいい情報ばかりを当てにしていたということにあります。


このような情報格差は、見合い結婚よりも恋愛結婚の方がはるかに大きくなります。


今はどうかわかりませんが、見合い結婚の場合は、見合い話を持ってくる人が当人の情報をたくさん持っており(小さい頃から知っている親戚などなら尚更です)、当人に適合する相手を探します。

そして、当然のことながら、相手方と「証拠開示」ならぬ「情報開示」を客観的に行った上で見合いを進めていきます。

(概ね、自分側に都合のいい情報がより多く開示されるのは双方承知の上で・・・)


このように、客観的な情報開示が双方対等に行われた上で見合い結婚をした場合、結婚後の「意外感」はそう多くはありません。


逆に、相手に対する情報をあまり知らず、場合によってはねつ造された情報を与えられ、恋愛熱という冷静な判断が出来ない状態での恋愛結婚は大きなリスクを伴います。

要領のいい就活者と同じように、恋愛術に長けた者が圧倒的に優位に立つのです。


その結果として「こんなはずでは!」という隠れた情報が怒濤のごとく表面化してくるわけですよね。


ですから、離婚率を比較すると、見合い結婚のほうが恋愛結婚より圧倒的に低いのです。


そうはいっても、昨今では見合い話を持ってきてくれるつながりの強い親戚が圧倒的に少なくなっているのが実情でありましょう。


お勧めするのは、籍を入れずに外形的には結婚と変わらない内縁を1年くらいやってみることでしょう。


実際、田舎の方では今でもそのような結婚形態を、遙か昔から慣習として維持している地域もあります。

私も弁護士になって初めて「足入れ婚」というものが現在でも普通に存在していることを知りました。


もう一つの方法としては、勢いで入籍してしまってから「しまった!」と気づいたら、迷うことなく離婚に突っ走る決断力を持つことでしょう。


以前の日記に書いたDVサイクル(加害者が「蓄積期」→「爆発期」→「蜜月期」→「蓄積期」・・・を被害者に対して繰り返すこと)の「蜜月期」に、DV加害者の夫や妻に決して情けをかけないことも忘れないようにしておきましょう。


離婚は失敗ではなく新しい人生を始めることだと割り切って・・・。