日の目を見ない素人の書いた脚本載せてます

日の目を見ない素人の書いた脚本載せてます

趣味で書き始めた脚本を載せてます      
シナリオ形式なので読みづらいかもしれませんが
よかったら読んでみてください        

〇から始まる文は、シーンです        
×××は、時間が経過したことを表しています  

 

【登場人物】

 中村 汐里(しおり)(33・21)…看護師(成人のイメージ:三浦透子さん)

 中村 龍人(りゅうと)(31・19)…汐里の弟・宅配業(成人のイメージ:岡崎体育さん)

 日野 倫代(ともよ)(29・17)…汐里の妹・主婦(成人のイメージ:見上愛さん)

 日野 (こう)(へい)(30)…倫代の夫(イメージ:森永悠希さん)

 中村 (ひろ)()(58・46)…汐里達の母親(イメージ:片岡礼子さん)

 中村 和彦(かずひこ)(47・40)…汐里達の父親(イメージ:佐藤二朗さん)

 中村 健次(けんじ)(46・35・28)…和彦の弟(成人のイメージ:波岡一喜さん)

 

 

〇中村家 汐里の部屋(夜)

    ベッドに入る汐里、天井を見ている。

 

(フラッシュ)

 航平「万が一、拘禁刑になったとしても一年ほどで出てくることになると思う」

    フーッと深く溜息をつく汐里、身を横にして布団を被る。

 

〇中村家 居間(夜)

    鍋の蓋が開けられる様子、上からの目線。

 全員「うわぁ!」

    湯気の中から見えるおでん鍋。

    こたつで鍋を囲んでいる汐里(33)、龍人(31)、倫代(29)、博美(46)、和彦(47)。

 倫代「みんなでおでんなんて、久しぶり」

 龍人「腹へったぁ!」

 博美「さぁさぁ、食べましょう」

    と、おでんを取り分ける。

 博美「はい、お父さん」

    と、取り分けたおでんを和彦に手渡す。

 和彦「(皿を受け取りながら)ありがとう」

    笑顔で鍋を囲んでいる五人。

    卵に手を伸ばす龍人。

 和彦「あっ!おい!おい!龍人、コラ」

 龍人「え?」

 和彦「お前、卵さっき食べただろう?」

 龍人「え?あ、うん」

 和彦「卵は一人一個。これ、中村家の家訓です」

 龍人「なんだよ、それ。いいじゃん、もう一個食べたって」

 倫代「私、卵まだ食べてない」

 和彦「ほら。な、ほら、ほらごらん。お前はカワイイ妹の分の卵を取り上げるのか!お前は

   おでんの具の中で卵がどんな位置にいるのか、わかってるのか?おい」

 龍人「どんな位置だよ」

 和彦「そんなことは知らん」

 龍人「なんだよ!それ」

 和彦「要するにだ。つまりは、おでんの醍醐味を独り占めするんじゃない、ってことだ!そ

   もそもお前は食いすぎなんだよ。だからそんな風にデカデカデカデカと…」

 航平「卵、たくさん入ってますよ」

 博美「そうよ。人数分以上に入れてあるし、別の鍋におかわりもあるから、気にしないで好

   きなだけ食べていいからね」

 龍人「イエーイ!」

    と、箸で卵を掴む。

 和彦「そ、そうなの?お母さん。っていうか、(航平を指さし)君は誰なんだ?え?最初か

   らいなかっただろ」

    知らん顔でおでんを頬張る航平。

    笑顔でおでんを頬張る汐里たち。

 和彦「なんだ!なんだ!お前たち。お父さんの話を聞…」

 博美「(話を遮るように)早く食べないと、無くなっちゃいますよぉ」

 和彦「いっただきまーす」

    と、卵を頬張り、熱さで吹きだす。

    ×   ×   ×

    中身が少なくなった鍋。

    こたつに入ったまま寝ている龍人、倫代、航平。

    子供たちの寝顔を目を細くして見ている博美と和彦。

 博美「汐里、いつもありがとうね」

 汐里「え?なに、突然」

 和彦「お前には、苦労ばかりかけて、すまないと思ってる」

 汐里「お父さんまで、何言ってんの?」

 和彦「汐里」

 汐里「何?お父さん」

    何かを話している和彦、口は動いているが声は聞こえない。

 

〇中村家 汐里の部屋(朝)

    ハッと目を覚ます汐里、身を起こし暫くボーッとしている。

 

〇中村家 居間(朝)

    朝食を取っている汐里と龍人。

    ×   ×   ×

 汐里「はい」

    差し出される弁当。

 龍人「ありがとう、姉ちゃん」

 

〇中村家 玄関(朝)

 汐里「行ってらっしゃい。気を付けてね」

 龍人「行ってきます」

    と、出ていく。

 

〇中村家 仏間(朝)

    和彦の遺影。

    仏壇のまえで座っている汐里、和彦の遺影を見ている。

    居間から電話の音、腰を上げる汐里。

 

〇中村家 居間(朝)

    受話器を耳に当てている汐里。

 汐里「警察?えっ、アイツ…叔父が?」

 電話の相手「留置所で倒れているところを発見され、すぐに病院に搬送されたんですが、

   脳幹出血だそうで…」

 汐里「え…」

    受話器を持ったまま固まる汐里。

 電話の相手「命は取り留めたんですが、医師が言うにはいわゆる脳死状態で、延命処置を

   するかどうかの判断をご家族に」

 汐里「(話を遮るように)私たちは被害者です。私たちの誰一人として、あの人のことを家

   族だなんて思ったことは一度もありません。だから、延命処置のための費用を出すつも

   りは、これっぽっちもありません!」

 電話の相手「そうですか。わかりました。それでは…」

 汐里「あ、それから!」

 電話の相手「はい」

 汐里「遺体の引き取りは拒否します。あ、死亡の連絡だけはお願いします。安心したいので」

 電話の相手「…わかりました」

    静かに受話器を置く汐里。

 

〇中村家 仏間(朝)

    ゆっくりと入ってくる汐里、仏壇の前に静かに座る。

    和彦の遺影。

    和彦の遺影を見ている汐里。

 汐里「脳幹出血、って…」

    和彦の遺影、笑顔の和彦。

 

〇中村家 居間(夜)(夢回想)

    中身が少なくなった鍋。

    こたつに入ったまま寝ている龍人と倫代。

    二人の寝顔を目を細くして見ている博美と和彦。

 博美「汐里、いつもありがとうね」

 汐里「え?なに、突然」

 和彦「お前には、苦労ばかりかけて、すまないと思ってる」

 汐里「お父さんまで、何言ってんの?」

 和彦「汐里」

 汐里「何?お父さん」

 和彦「健次には、父さんがきちんと形見分けしておくから。だから、もう心配しなくても

   いい」

 汐里「え?形見分けって、何をあげるの?」

    黙って微笑む和彦。

    不思議そうに和彦を見る汐里。

 

〇中村家 仏間(朝)(現在)

    和彦の遺影。

 汐里「お父さん…」

    仏壇の前で座っている汐里の後ろ姿。

 

〇住宅街

    住宅の前の配送バン。

    一軒の家の前に立つ荷物を持った龍人、インターホンを押す。

 龍人「アシカ急便でーす」

 

〇交番

    落とし物を拾った小学生に笑顔で対応する航平。

 

〇スーパー

    カートを押し買い物をする倫代、お買い得品を見つけて笑顔になる。

 

〇病院

    颯爽と歩くナース服姿の汐里、すれ違う患者と笑顔をかわす。

 

〇中村家 仏間

    雀の鳴き声。

    外から見える仏壇。

    和彦と博美の遺影。

 

                                    …終わり…

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この作品のお題は、「形見」でした。

形見といって思い浮かんだのは、父が亡くなったときにした形見分け。

手先が器用で多趣味だった父の育てた盆栽や水墨画、水彩画用の筆などなど

貰っていただいた父の形見たちは、その後、それぞれの家で

第二の人生ならぬ物生を送っているようです。

私は物に固執しないタチですが、見えない所で父がまだ趣味に勤しんでいるようで

ちょっと嬉しいです。

 

それでは、また。