これのつづきなど。

『津軽』序編では、弘前高校時代のことが少しだけ書かれてるのだ~。

 

私は、この弘前の城下に三年いたのである。弘前高等学校の文科に三年いたのであるが、その頃、私は大いに義太夫に凝っていた。(21)

 

義太夫にハマったのが、太宰にとってよかったのか悪かったのか……分からないけれど、義太夫を習ったきっかけで花柳界へ出入りするようになり、のちに芸奴であった小山初代(色々あったものの内縁の妻)と出会うことになる。

それにしても、芸奴と逢瀬を重ねる高校生……。

こういうませた行為が、当時は一種の武勇伝だったみたいだけど。

 

どうしてそんな、がらにも無い奇怪なことをはじめたのか。私はその責任の全部を、この弘前市に負わせようとは思わないが、しかし、その責任の一斑は弘前市に引き受けていただきたいと思っている。(21)


義太夫が盛んだったのかよく知らないけど、弘前市に何も責任はない~。

 

 

 

ということで先月2月、弘前に寄ったので、高校時代に実際に住んでいた下宿家を訪れてみた。

 

今でこそ素朴な感じの佇まいだけれど、大正時代に建てられたこの家は新しい住宅様式だったみたい。
 

 

ひっそりとしていてちょっと入りづらかったけれど、

おじゃましまーす…と、控えめにガラガラと引き戸を開けたとたん・・・

 

!!
 

芥川を真似してる太宰さんが…汗汗汗

 

扉を開けた瞬間、等身大に近い太宰パネルが眼前にせまり、待ってましたとお出迎えされたので、この演出に腰が抜けそうになったりしたよ~笑!

これには笑っちゃったよ~!

芥川を真似たこちらの写真はよく見かけるけれど、こういう風に使うとグッドなのね。

 

でもでも、太宰だったらリアルにこんなことやって、訪れる人を笑わせそうだな~~と思って、館主のセンスに好感を持った!

 

ぼんやりした不安~って似てないから!

 

意外なお出迎えに、入り口でしばらく悶えてたら、館主さんが現れ案内してくれた。館内の写真は自由なので、写真たくさん撮ってどんどんSNSに投稿してください♪と言われた~。

ということなので、色々載せてみよう。

 

真面目な写真(右)の後に必ずおどける人(左)。
 

このように、ふざけて人を笑わせてばかりいた太宰は自分のことを道化師と言っていたけれど、本当は好きでやってた気もする。笑ってくれるのが嬉しくてー。笑われてる限りでは見捨てられないわけだし。自分もそういうところあった~。よく変な人って言われたりした。。

それが道化を演じてるってことなのでは……

 

 

太宰が高校生の時に芥川龍之介が自殺した。これにはかなりの衝撃を受けたということだら、入口にあったパネルの他にも芥川を真似る写真が色々と展示されていた。

 

芥川の自殺、さらにドはまりした義太夫、これらが徐々に太宰の人生を迷妄させた一環の要因になるのかもしれないね。。

 

 

 
実際に住んでいた部屋、そして当時使用していた机などもきれいに残されていた~。
 
 
そして、この落書き・・・

ちょっと見づらいけど、襖上部の木の枠になにかの方程式が書かれている。

なんでわざわざこんな上部の書きづらい場所に書いてるのかね??

机の上にでも立って書いたのかな??

 

 

あと、実際描いた太宰のイラスト(落書き)などもたくさん展示されていた。

 

これ誰?父親かな??

 
 
やたら自分のサインを練習しているような、そんなのもあった。
あと私もよくやってたけど、たくさん教科書に落書きしていた~。

 

 

普通の学生の何倍もの学費を遊興費に使い、芸奴と結婚の話をするわ、左翼活動に深入りし出すわ、挙句の果てにカルモチン大量摂取して騒動を起こすわ…。

真面目とは程遠い学生生活だったにもかかわらず、東京帝国大学を受験してフランス文学学科へ入学してる。。

太宰は高校時代に英語が得意だったのは事実のようだが、フランス語ができたという話は聞いたことがない。

なんでフランス語を選んだかと言えば、中退するにしても「国文学中退より粋だから」と言ったというが。。。太宰らしいというかなんというか。。。

 

太宰は天才肌な気がする。三島由紀夫がむかつくのも分かる気がする。

これで真面目な努力家人間だったらすごい人になっちゃいそうだけれど、魅力は半減しそうでもある。少なくともこんなに有名にはならなかっただろう。

 

私は十九歳の、高等学校の生徒であった。クラスでは私ひとり、目立って華美な服装をしていた。いよいよこれは死ぬより他はないと思った。

私はカルモチンをたくさん嚥下したが、死ななかった。

『苦悩の年間』より

 

 

と、『津軽』と少し話がそれたけれど、本編がこれから始まる(これからかい!)。

太宰は上野から夜行で青森へ行き、そこから蟹田、今別、三厩、龍飛、金木、五所川原、鰺ヶ沢、深浦へ、ざっとこんな行程だと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関係ないけれど、昨日は海芝浦っていう所に行ってきた~。

夕暮れ時の工業地帯もいいけど、夜は夜でFF7の神羅ビルみたいな感じなのかな~。