リンパ系の大切さ―ひまし油湿布とリンパ系― | 明日の医療と今日みた夢と

明日の医療と今日みた夢と

医師。夢療法家。エドガー・ケイシー研究家。臨床分子栄養医学研究会認定医。
「からだ」と「こころ」と「たましい」の医者として患者さんに寄り添います。

ケイシー療法の代表が“ひまし油湿布”です。お腹にオイルをしみ込ませた布を当てて温めるという、その気になれば誰でもできそうなもの。これが病気の治癒に繋がるなんて!

 

有効にはたらいた事例は報告されていますが、現代医学では(当然のように)扱われていません。

 

お腹を温める、という治療法は病院でもあり“メンタ湿布”と言われています。大病院ではあまり行われなくなっているようですが、メンソール(ハッカ油)を含ませた温熱タオルを腹部に当てる方法で、腸蠕動の促進を目的に施されます。

 

ひまし油湿布にもシンプルに“温める”ことの利点はありますが、それだけではなく、免疫機能を高めて毒素の排泄を促すと言われています。ひまし油というオイルには特別な作用があると考えられており、その施術は古代エジプトまで遡ることができます。

 

詳細な機序については解明が待たれますが、リンパ球の総数と、Tリンパ球数が増加するという報告があります。ひまし油湿布は免疫系で重要なはたらきをするリンパ系にはたらきかけることによって、結果として排泄機能が促進されるのでしょう。

 

 

リンパ系とはどういうものなのでしょうか。以下の側面から成り立っています。

①身体を流れる体液としてのリンパ液

②リンパ液を流す管であるリンパ管

③リンパ液に含まれる細胞であるリンパ球とそれが集合する組織    であるリンパ組織(リンパ節)

 

医療のなかで“リンパ”と言えば、免疫と密接に関わる③を意識して語られることが多いと思います。乳がんや子宮がんの手術でリンパ節を切除した後にリンパの流れがわるくなっておきるむくみ(リンパ浮腫)の際には①と②が問題とされますが、そのほかの病気に対応するなかで意識することはほぼないのが現状です。

 

リンパ節は肉眼で認識できますが、リンパ管は脂肪組織に埋もれているのでほとんど確認できないということも、意識しなくなっている理由だと思います。

 

 

ひまし油湿布はこの①②③すべてを向上させると考えられますが、西洋医学にはそのような方法はありません。リンパ浮腫にたいして①と②にはたらきかけるために運動・マッサージ・体位(重力を利用)の指導を行うくらいです。(美容の観点からもリンパマッサージはありますね)

 

いっぽう東洋医学には“水毒”という概念のもとに水の巡りにはたらきかける方法(漢方薬や鍼灸など)があり、アロマセラピーやアーユルヴェーダにはオイルを身体の外側から浸透させるいろいろな施術があります。

 

 

体液循環には血管系とリンパ管系があります。血管系は心臓を中心に動脈と静脈が毛細血管のネットワークを形成して繋がっているので循環と呼ばれますが、リンパ管系は正確には循環でなく一方通行で、細胞のあいだの細い管に始まって合流を繰り返して太くなり、最終的には静脈に流入します。

 

リンパ液は毛細血管からしみ出した血漿成分が細胞周囲を満たしその後に吸収されたもの(=組織液)+脂肪分などが腸管から吸収されたもの(=乳び)から構成されています。

 

細胞のあいだを流れる組織液には水分とともに、細胞から排泄された老廃物が含まれています。細胞単位で考えると、血管系は細胞と直接つながっているわけではなく、栄養素の供給や老廃物の回収はすべてこの組織液を介して行われています。

 

つまりリンパ管が、最もミクロなレベルでの排泄経路なのです。その流れがわるくなれば、水分とともに老廃物も停滞してしまうことになります。

 

 

生命活動の基本は、外部から必要なものを取り入れ、内部でそれを活用して不要になったものを外部に排出することです。

健康とは、絶え間なく継続するそのはたらきが、円滑に滞りなくすすんでいること。

 

とくに大切なのは、不要になったものをすみやかに排泄することで、この働きがわるくなれば何かしらの不具合が起きる、つまり配水管が詰まれば汚水があふれるのと同じです。

 

また組織液には、タンパク質やウィルスなどの異物が含まれるため、それを集めたリンパ管の途中に重要な免疫機能を担うリンパ節があります。

流れがわるくなればとうぜん免疫も悪影響を受けるでしょう。

 

リンパ系というのはひじょうに重要なはたらきをしており、すべての治療に際して考慮されるべきものなのです。

 

 

ひまし油湿布はほかに自律神経系にもはたらいていると考えられます。古代文明の時代から、オイルには単にマッサージのための潤滑油としての作用だけでなく、特別な力があると考えられ、各種のオイルが治療に利用されてきたのです。そのすべての作用機序が医学的に説明できるわけではありません。

 

そもそもケイシー療法の理解に近づく前提として、生命の創造の力(フォース)とか、すべてのものは波動であるという、本質的な部分での認識が必要になります。

 

“量子医学”“波動医学”と呼ばれる分野が今後発展してくれば共通認識が持てるかもしれませんが、まだまだ医学は量子力学に追いついていません。