けんの授業参観が終わり、テニススクール待ちで駐車場で読書をしている。

エンジンを切った社内は冷えきって、レザージャケットのボタンを全て留めて、マフラーを首にグルグル巻きにして、ちいさな毛布を膝にかけている。

風が音をたてて車を揺らす。

北陸からの風が養老山脈にぶち当たる。
雪雲はブロックされるが、突破した乾いた冬の風が西から濃尾平野に吹き付ける。

小学校の校歌にも「伊吹おろしはすさぶとも」という歌詞があったし、今いるこの駐車場のそばにあった社宅にいたときも、この風の音を聞いていたのを思い出した。

小学生の頃の記憶でもはっきりと感覚として残っている。

ここは航空自衛隊岐阜基地の真東の位置だ。
西からの風を真正面から受けて揚力を得ながら離発着するように滑走路は設計されている。

凧揚げをした場所はすぐ横だ。

西の方から自衛隊機が離陸する爆音が響く。
東の方から着陸体勢で目の前を通過していく。

高くまで張られたグリーンのネットが揺れている。