金曜日の夜は1週間の苦痛に復讐する様に走って、掃除して、音楽を聴いて気持ちを脱ぎ捨てる。

だけど今週は体調が悪いせいで、それが出来なかった。
だけど、携帯のストレージが足りなくなってきている事を解決しないで、土曜日を迎える事が嫌で、朝方までPCと携帯を繋いでファイルをSDカードやPCに退避させる作業をしていた。

ハイレゾの音楽ファイルflacがその殆んどで、サイズが大きく、移動の待ち時間が長く、うとうとしながら朝方になってしまった。

作業を終えぬまま、諦めて寝床に入った。

世間を賑わすニュースに心が奪われる。
金曜日の昼休みには「良かったね」と心から安心して眠った。

帰ってきた。
戻ってきた希望。
生き続けた命。

一方で二度と戻らない旅に出てしまった人を思う。

人は死ぬほどの苦痛を感じても逃げ出すことを選ぶ事さえもできなくなる。

逃げ出せ!
脱出ボタンを押して救出されても、また連れ戻されるだけならば、もっともっと遠くへ逃げればいい!

逃げて逃げて、潮目が変わる時を待てばいい。

逃げらなかった僕だけど今そう思う。

そして良かれと思って連れ戻した人びとを責めることもできない。

彼らは自分を痛めつけ続けるだろう。
時がその痛みをやわらげてくれるまでどうか、生き抜いてほしい。

土曜日の夜、僕は漸く布団から出ると、千円札を1枚持って、近所の実家までビールを貰いに出かけた。

途中、暗闇から声がして振り返るとけんがついてきていた。

貰ったビールを手にぶら下げて、二人で小雨の中を散歩した。

回復と自滅のバランスをとりながら、誤魔化し誤魔化し。

走らないで酒を飲む事も気にしないで過ごそう。