薦められるがままに萩尾望都の積読破壊に明け暮れております。
今日は『バルバラ異界』

夢が現実であり、現実がまた夢でもある、という感じで、ぐるぐるします。
(粗筋、書き辛い。)

主人公、渡会時夫には、人の夢の中に入り込む力がある。ある日彼のもとに、7年間眠りつづけている少女の夢に入ってくれという依頼が舞い込んできた。少女は夢の中で、人が空を飛べたり不老不死だったりする奇妙な世界、「バルバラ」に住んでいた。このバルバラ、少女の夢の中なのだから、彼女固有の世界のはずなのに、時夫の息子キリヤが「バルバラ」は自分が創ったと言い出すんです。キリヤの想像の世界と、少女の夢が繋がっている(?)。そしてさらにバルバラは現実界の未来ともリンクしている(?)、、、という感じでぐるぐるつながっているんです。夢の中のバルバラと、現実が。バルバラは現実に干渉してくることもあるし、現実がバルバラに干渉することもあります。ここを現実にするには、ここではないあそこを非現実=夢にすればいい。そうすれば永遠のユートピア、バルバラが現実になる。けれども~、、、。

夢読み、あなたがわたしであり、わたしがあなたでもある相互包括的な状態、イコール、なにも危険はない満たされた平和な世界、親の心臓を食べるという食人モチーフと不老不死、、、。
非常にたくさん現代思想的モチーフが散りばめられていて、色々考えさせられます。

夢の世界の方が現実だったらいいのに、って私も思ったことあります。夢では空も飛べるし、いじわるな人も出てこない。むしろ現実で意地悪してきた人を、夢の中でイジメテやることだって、できます。大好きな人に囲まれて、幸せな気分でいられる。だったらこっちが現実だったらいいのに。って思う。それって自然なことです。でも現実があるから、夢が素敵なユートピアに思えるのであって、夢が本当に現実だったら、またそこで何か不満を感じるかもしれません。だからどっちも必要なんです、たぶん。
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