今年は通年で、フランス文学史の講義をお手伝いしています。
(普段UPしている作品は、ほとんどフランス文学と関係ないのばっかりですが。)

文学史、というとちょっとあんまり面白くないイメージでしょ。
特にフランス文学なんてお堅い感じするし。でも、結構面白いんですよ。

このブログでは時々、授業のエッセンスをちょこっとずつご紹介します。

初回の授業は、こんな問いからスタートしました。 
Q. フランス文学とは何か?フランス文学を学ぶとはどういうことか?
A. 「フランス語」で書かれた「テクスト」を「読み」、理解すること

フランス語、というのは、もともとは ラテン語の俗語 でした。
テクスト(英:text 仏:texte 語源はラテン語:textus) = 織られたもの
読む(英:read 語源はラテン語:reor 数える)(仏:lire 語源はラテン語:lego 集める) = 数えること、集めること
面白いことに、広辞苑で「読む」をひいても、「数える」という意味が出てきます。
「鯖を読む」とか「票を読む」とかね。東西通じるものがあるって、面白いですね。
 
まとめると、、、
西ヨーロッパで8から9世紀ごろに成立した言葉で織り成されたものの、構成要素ひとつひとつを数え、また集めながら理解してゆくこと。
 
となります。

「テクストを読み、理解する」ことができたら、
次は、それを伝えたい、と思うでしょう。

最後に、星空をテクストに例えたお話が印象的でした。

「満天の星空に出会ったとします。あなたは空をを見上げて、きれいだなぁって思うでしょう。そのときって、無意識に星を数えてるんですよ。いっぱいきらきらしてたの、って言うより、数えきれないほどだったの、って言うでしょう。それで、輝きの強い星とか、色のついてる星とかを繋いで、あ、サソリにみえる、とか、小グマに見える、とか思って、それを伝えるかもしれません。その、サソリとか子グマは、あなたが星に意味付けをしている、星を読んでいるということなんです。」


ただ眺める、見るだけでは、その感動を伝えることはできません。
あなた自身が、気になった箇所を、
繋いで意味付けて解釈をする
それがあなたの感動を誰かに伝える方法であり、
すなわちこれは文学研究の出発
点でもあります。

しかも、「気になる星」、要するに
面白いと感じた箇所も、10年前と今では違うし、その繋ぎ方も時々によって違うものです。だからいつも同じ読みはできないし、したがって誰かと同じ読みもあり得ません。(みんな違ってみんないい、っていうの、私はあまり好きな詩じゃないけど、そんな言葉がぴたりとくる感じかな。)

この部分に関しては、フランス文学研究に限った話ではないんです。
何かを説明したい、伝えたいと思った時に、誰もが無意識にやっていることだから。

研究っていうと、なんだか大それた感じがしますが、
そう言われると気が楽になるし、面白そうだなって好奇心も湧いてきませんか。