【大家MASA】大家MASA選書No.167 「(日本人)」 | 大家MASAの世界まるごと不動産投資

大家MASAの世界まるごと不動産投資

普通のサラリーマンがMBAの知識を駆使して不動産投資を展開。フィナンシャルフリーダム達成のための国内・海外ハイブリッド不動産投資法を展開中。多くの皆様に参考になる情報、投資手法をご提供します。フィナンシャルフリーダムを目指して共に学びましょう。

大家MASAの世界まるごと不動産投資 ブログ読者の皆様

橘玲氏の「(日本人)」をご紹介します。

(日本人)/幻冬舎
¥1,728
Amazon.co.jp

タイトルのカッコは、カッコを入れる事で、国家や国民の枠組みから
一歩引いて考えてみる筆者の意図がうかがわれます。

さて、日本人が日常生活においてなかなか日本人である事を意識しないと思います。また、メディアなどでは、日本人が世界で特殊な存在であるかのように
報道されますが、

本当のところはどうなんでしょうか?

「世界価値観調査」において、
特に日本人の回答は以下の3つの問いに関してYesと答える回答が
いずれも最下位だそうです。権威を振りかざす政治家や軍人を信じたのに
戦争に負けた辛い過去の体験がそうしているのかもしれませんが、

・戦争が起きたとき、国のために進んで戦いますか?
・自国民である事に誇りを感じますか?
・権威や権力はより尊重されるべきですか?

この結果から、一般的な権威に弱く非合理的、集団主義であるとする
日本人論とは異なり、日本人は本当は“世俗的で反権威主義で個人主義的”と
想定出来るかもしれません。

◆日本人の微笑みについて
微笑みの国、タイ。
微笑みの種類は実に13種類で空気を読む、グレンチャイという考え方があり
日本とそっくりです。また日本と同じく責任を厳しく追及する事も無いそうで、
日本人だけが西洋人が理解できない微笑みをする訳では無いようです。

◆西洋の日本人論
西欧のオリエンタリズムは恣意的であり、白人種は優秀で東洋人は
文明化の途上であるという前提があるやに思われます。
明治時代の新渡戸稲造の「武士道」が西欧でベストセラーとなり、
近代日本人のイメージの基になっていると思いますが、
新渡戸自身、盛岡弁で標準語でのコミュニケーションに苦心したといわれ、
渡米歴も長くむしろ日系アメリカ人に近い存在でした。

その後、戦後にベネディクトにより日本論を著した「菊と刀」も
ベストセラーとなりましたが、実はベネディクトは一度も日本に来たことが無かったのです。このように、日本人らしくない日本人と来日した事のない
西洋人の知識と経験から発信された情報により、西洋との違いが強調され、
ある意味でゆがんだ日本人の特殊性が確立されることになったとも言えます。

◆グローバル空間のルール
グローバル空間ではローカルルールはグローバルスタンダードに対抗できない。
好むと好まないに関わらず、グローバルスタンダードに従わなければ、血で血を争う戦いとなってしまいます。能力以外で労働者を差別してはならない、
という考え方がベースであり、株主利益の最大化が最終目的ではないのです。

◆控えめな日本人と傲慢なアメリカ人
アメリカ人は日本人と対極的に傲慢であるとされる背景として、
イギリスから独立、第二次大戦で勝利、冷戦で勝利といった3つの成功体験によって、建国の理念であるリベラルデモクラシーの正当性が確信となったといえます。

◆日本社会の責任の構造
一般的に社会が豊かになるにしたがって、無限責任(=無責任)、
連帯責任、自己責任と責任の取り方は進化していくのですが、
日本では法の絶対性は理解されず、法は努力目標のまま。
呪術的な無限責任の世界。

日本の組織において権限と責任は分離し、閉鎖的なムラ社会のごとく
誰も責任を取らなくても良い組織になっている。

旧日本軍、厚生労働省の女性局長への国策捜査、オリンパスの損失隠し、
福島原発の処理、、、
組織は責任を取らなければならない重大なトラブルが起きると、
機能を停止してしまう。
日本の社会制度は、意図的に作られたものではなく、
中世のムラ社会から連綿と続くものであり、
見てくれだけをグローバルスタンダードにしても意味がない。
連合を支持基盤に持つ民主党が改革に成功する可能性はゼロだったわけです。

1940年体制論
戦時下の改革により、生産者優先主義、競争否定が定着し
戦後の高度成長期に輸出産業優先が定着したという経済学者野口氏の説。

◆日本はグローバルになれるか?
結論からすると、難しい。ほぼ“日系日本人”社会の中に他者がいないから。
明治以来、アジアの指標となっていた日本もローカルルールが行き詰まり、
老いていくアジアの明日の姿となっている。

◆大いなる停滞の時代
“人類は300年以上、容易に収穫できる果実を食べつくしてしまった“
果実とは、無償の土地、イノベーション、未教育の賢い子、
これら果実を食べつくした日米欧は“大いなる停滞“の時代を迎えている。
問題は国家にある。

◆自由のユートピアへ
日本人は最も世俗的な国民であり、ご利益の無い神を信じず、
地縁も捨てて無縁社会に生きている、歴史の最先端に立っている。

最後に、戦後日本を支えてきたシステムが崩壊しつくしたとき、
残骸の中から新しい世界が始まり、国家に依存しない経済的に自立した
自由な個人だけが、その混乱の中でユートピアへと達する道、
エヴァンゲリオンを伝える事が出来るとしています。
戦後築き上げてきた価値観をリセットしなければならなくなったとき、
リバタリアニズムと親和性の高い日本人こそが新たなユートピアに
最も近い場所にいるというのが本書の結論となります。

来年は大東亜戦争終結後の70年の節目です。

大震災、経済のクラッシュなど大きな事、国の根幹を揺るがす変化が
起きるのではないかとも言われています。
そういったクライシスの後にリバタリアニズムと親和性の高い日本人が
どのように乗り越えて再興できるのか、非常に興味のあるテーマだと思います。




■■読者様限定イーブック&セミナー映像プレゼント中!■■

ぜひメルマガにご登録下さい。投資に役立つ情報満載です! 

http://www.mag2.com/m/0001546250.html