- 10年後に食える仕事、食えない仕事/東洋経済新報社
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高等教育、いや中学校から本書の内容について教育すべきと思います。
近年、厳しい就職氷河期が到来していると連日報道されています。
私が社会人になった90年代後半も似たような事が言われていました。
バブル崩壊後、新卒に対する就職環境は基本的に悪化の一途で今後も好転するとは思えません。
一昨年の事になりますが、大学生の就職内定率は、前年同期比4.9%減の57.6%です。
この数字は、「超就職氷河期」と呼ばれた2000年代前半を 大きく下回っております。
このままいけば、その先の進路が決まらないまま、大学を卒業し、新卒未就業者になる若者が街に溢れることになります。
現に、高校生の時に数学が秀でて飛び級で大学入学、大学院まで出た31歳の方が昨日のニュース番組に出演していました。
今はなんとアルバイトで食いつないでトラック運転手の正社員の仕事を探しているのです!
なぜ、このような事態に陥ってしまっているのでしょうか?
日本企業の多くは、長引く円高やデフレによる利益減少不安にさいなまれ、構造的に新規採用の扉を容易に開く事ができません。
その為、就職したくても就職出来ない、会社を選べないといった問題が起きています。
でも、日本に限ったことではなく、他の先進国でも同様の現象がおきており、もはや単純に学歴=成功とはならないのです。
これからは、正しい航海図を持ってグローバル時代の職業マップを理解しなければなりません。
■グローバル時代の職業マップ 4つの象限(P4、5)
*それぞれのマップに具体的な職種が記載されていますので、要チェックです。
①重力の世界:グローバルの最低給与水準に収斂される
日本人でなくとも外国人がこなせる一次・二次産業中心の職業としてもろにグローバル化にさらされます。
②無国籍ジャングル:世界70億人との仁義なき戦い
弱肉強食の世界で女性なら勝間和代さん、男性ならヒクソングレーシーのような人でないと生き残れないという例えは的を得ています。
③ジャパンプレミアム:日本人ならでは、日本人しかできない
チームワーク力等による技術集約面で日本人メリットが生きる領域。
④グローカル:日本人の強みを生かしつつグローバル化に対応
高度なコミュニケーション能力が問われ、日本語障壁で守られ、日本市場のプロとして高付加価値スキルを持つ。
ややもすると、日本はGDPランクが今後落ちていくから、少子高齢化だからと、将来性を悲観した単純な一元論で語りがちですが、上記のマップによりこういったスタンスを反省させられます。
③や④のように日本人であることを活かし活躍できる道があるのです。
当然ですが、筆者は①重力の世界は今後も生活保護レベルの収入となるためまずはここから脱するべきとしています。
技能系なら③ジャパンプレミアム、知識系なら④グローカル、腕に自信があるなら、②無国籍ジャングルの3つ方向があるとしており、
日本人であるメリットを生かしながらスキルの差別化が出来、
ポータブルなスキルを伸ばしやすい
④グローカルメリットを最も奨めています。
他の先進国を見てみると、日本よりも状況は深刻です。2011年の25歳未満の失業率は、スペイン46%、ギリシャ43%、イタリヤ28%、英国21%、米国18%です。
それに比較して日本は8%ですが、このままだと欧米諸国の水準に達するのも時間の問題かもしれません。
私見ですが、筆者が奨めている日本人メリット+ポータブルスキル(特殊技能)に加え3つのE(イングリッシュ、エコノミー、エレクトロニック)があれば鬼に金棒になるのではと思います。これは、働く場所が日本以外にも広がるからです。
今後の子供の教育に関して”トップ進学校+学習塾⇒目指せ東大”の
ような価値感は国家公務員など目指す以外はもはや通用しないのです。
ですから、これからの日本人は子供の教育の拠点として、またロングステイのために海外に一家に一戸くらいコンドミニアムを持っていると便利だと思うのです。