- 資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書)/文藝春秋
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金融の世界では、キャピタルフライトという言葉が良く使われます。
文字通り、資産逃避の事で国内から海外へ資本が流出する資本逃避の事ですが、実は古今東西、戦争や天災などが原因で多くの国で起こってきました。
現在のギリシャ、スペインでも起こっています。
日本社会の二極化についてマスコミによって報道されるものの、大抵は一方の貧困層ばかりが取り上げられているため、富裕層の実態はベールに包まれている感がありますが、富裕層は資産保全の観点から海外での資産運用は古くから行われていました。
(1988年の金融ビックバン以降、日本人は海外で銀行口座を持つこと、
国内で外貨預金が可能となりましたが、それ以前は両方とも外為法の対象で違反すると罰金刑の対象でした。)
旧財閥、旧家は、古くから欧米の富裕層を見習ってきました。 従来の富裕層であるオールドリッチ層(資産100億円以上の層も含まれる)では、既に海外での資産運用を行っており、既に資産フライトが完了している人もいるといいます。
90年代のIT革命で財を成したニューリッチ(大抵は資産10億円以下)の登場は、会社資産ではなく個人資産を蓄えたが故にその資産の運用を心掛けた傾向があるそうです。
ライブドア・ショックなど国内での変化を踏まえ海外投資に目を向けるのも無理は話ではありません。
アメリカでは、上位4%が富の80%を握っていると言われ、国家を運営する税金はほとんどは富裕層が支払っている事になります。
日本の場合も、所得1億円超の人は全体の0.1%に過ぎないが、納税額の13.6%を占め、所得5000万円超だと全体の0.6%に対して納税額は27%。1000万円超までにすると、納税額は79%以上に達するとのことで、増税など富裕層への圧力がさらに高まれば資産フライトを更に助長する事になりかねません。
また、資産フライトする人と一般人の間のパーセプションギャップ(認識の違い)が崩れたとき、一般時がこの状況を理解できたとき、本当の危機になると筆者は指摘します。
WGヒルは、PT(Permanent Traveler、終身旅行者)のライフスタイルとして「五つの国旗論」を80年代に提唱しており、なるほどと感じます。
といいますのも、ASEAN諸国を訪問すると租税回避か、余暇か目的は分かりませんが欧米の中高年の方が多いです。
アーリーリタイヤメントした層はこのセオリーを実践しており、既に浸透しているのかもしれませんね。
「五つの国旗論」
第一の国旗:属地主義の国のパスポートを保有すること
第二の国旗:租税回避地を公式居住地とすること
第三の国旗:仕事をする国
第四の国旗:資産運用を行う国
第五の国旗:余暇を過ごす国
この5つの国旗が全て違う国である必要は無いが、節税という観点からは、第二と第四がオフショアであるメリットは大きいのです。
また、筆者が指摘する今後大切なのは3つのE(イングリッシュ、エコノミー、エレクトロニック)については強く同感です。
子供の教育においてもこの3つを早期から取り入れる事が競争力のついた個人を生み出し、ひいては強い国へとつながると思います。
特にイングリッシュは、学校での授業時間が少なすぎます。私の学生時代で英語を話せたのは大抵、帰国子女か1年以上の留学経験者でした。
ということで私の子供は迷わず留学させます。
多くの日本人は旧来の中流意識から、まだ下流がいると見下す事で心のバランスを保ち、上流を金に飽かせて好きなことをやっていると 嫉妬心から引きずり降ろそうという姿勢が染みついている気がします。もはやそのような貧しく時代遅れの視点ではNGです。
世界情勢を大局的に捉え、徹底した現実主義に生きることが多くの日本人にとっては必要であり、マインドチェンジしなくてはなりません。
主なライバルは国内ではなく海外にいます。中国、韓国のみならず、ASEN諸国が日本に追いつきだしました。
また、国、教育機関は二極化した社会の中で中流・下層でも3つのEをきちんと身に付けられる教育環境を整備することにより、国内、海外でビジネスチャンスをつかめる人材を輩出するサポートすべきですが、国任せでは間に合わないかもしれません。
自ら動くことが大切で、3つのEを日々学習し海外にも出ていき、経験値をあげていく。
ユーロに端を発する金融資本主義の危機が迫っている今だからこそ、個人個人が次のグランドデザインを描き実践しなければなりません。