相手の遠藤は鶴竜から初金星を奪っているとはいえ、まだ8場所目の23歳。30歳の琴奨菊は「必死だった」と繰り返した。言葉通り、大関の気迫が伝わってくる一番だった。



 低く当たった直後に左を差した。上下にあおるように揺さぶりながら前進。一度は残されたが、体を入れ替え、再び寄り。小手に振られてもかまわず、右腕で相手の左膝裏を抱えて倒した。渡し込みの決まり手に「体が反応した」。



 東京場所前半戦の平日では17年ぶりの大入り。仕切りの最中の歓声は人気者のホープに集中した。やりにくい雰囲気に流されることなく、納得の相撲で遠藤に3場所続けて快勝。「気持ち良いね」と相好を崩した。



 大関在位16場所目ながら初優勝が遠い。ここ3場所は2桁勝利すら逃し、存在感も薄い。痛めていた右胸のテーピングは今場所から外れたが、すでに2敗を喫している。



 場所前の連合稽古で、稀勢の里と何度も胸を合わせる姿を見守った師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「もう一つ上の地位があるんだから。そこを目指して頑張ってほしい」と弟子に奮起を促していた。



 「気持ちを持続させたい」と琴奨菊。これ以上星を落とさずに、後半戦まで食らいつくことは大関としての責務だ。(藤原翔)