2020年東京五輪が決まったことで、日本選手の育成・強化に多くの関心が寄せられるようになった。次回16年リオデジャネイロ五輪を開催するブラジルも事情は同じ。各競技団体が強化策に取り組んでいる。陸上男子400メートル障害の杉町マハウ(日本ウェルネス)はブラジル陸連の強化対象の1人。日本育ちのブラジル人ハードラーは同五輪で上位入賞を目標に掲げている。五輪中間年のシーズンインを前に、当地の強化状況や自身のトレーニングプランなどを聞いた。(宝田将志)
--直前に遠征へ出ていた
「南米大会に3月10日から行って16日に終わった。その後、サンパウロで17日から4月5日まで合宿をした。私は世界ランキングで20番以内に入っているので、ブラジル国内で2回、国外で2回まで合宿を組める」
--年間で4回の合宿に補助が出るのか
「こちらから(ブラジル陸連に)申請して、許可が下りるか、どうか。(支給の)最高額は決まっているようだ。いくらまでとは言われていないけど、額が大きすぎると『じゃあ少し減らしてくれ』とか。だから、やれる可能性があるという言い方の方がいいのかな」
--ロンドン五輪後の制度か
「それまでも、申請したら許可が下りたことが多かったようだが、正式には今年から。世界ランク20番以内でなくとも、国内合宿に関しては希望を出せば通る可能性が高い。これからの選手に伸びてもらいたいという考えがあるようだ。五輪が決まって、お金の面ではサポートが大きくなっている」
--南米大会は3位だった
「3月という(早い時期の)試合は今まで出場したことがないので、練習としては力を入れていなかった。ただ、それ以上に他国の選手が力を入れていた。予想では50秒ちょっとで優勝すると思っていたけど…」
--南米各国も強化を進めているという印象か
「(五輪は)どの大会も力を入れるが、ブラジルでやるということで、近いし、訪問したことがある地域ということで、南米全体で盛り上げようという雰囲気はあると思う」
--母国開催になる
「国籍はブラジルなので。周りから(期待の)話も聞いてモチベーションも上がる。今のところプレッシャーとは思っていない。本番が近づくにつれて、平常心をどこまで保てるか」
--北京五輪初出場の後、ロンドン五輪は出場を逃した
「ブラジル陸連がリオ五輪で活躍するためにはロンドン五輪は有力選手だけ(代表に)残そうとなって、自国で(派遣)タイムを決めた。それが直近の世界大会4つ(世界選手権3、五輪1)の12位の平均。400メートルハードルに関しては、争いが激しので決勝よりも準決勝の方がレベルが高い。タイムが49秒1台でA標準より上だった。自分は0秒03の差で行けなかった」
「日本の選手は3人出場して、自分のタイムの方が速いのに出られないのか、と。種目特性を考えれば、すべて同じ基準にしなくても良かったのでは。投擲(とうてき)種目は予選で、ある程度の記録しか出さないから中にはB標準以下の種目もあって、それは(基準を)Bに引き上げていたから」
--今回は変更されそうか
「今のところ何も言われていない。出ている情報としては国際陸連の標準記録と同じ。リオに向けては(選手は)出させるだけ出そうという考えはあると思う。ただ、お金の面に関してはトップの人だけ。(世界ランキング)20番に入っている人により多く補助してメダルを取ってもらうという考えがある。来年には(今の補助対象を)減らして行くと言っていた。世界ランク15番までとか。また五輪前年になれば、さらに絞られるのでは。お金を出さない訳じゃないけど、よりメダルに向けてというところ」
--自国開催で、どうメダル取らせるかは課題だ
「五輪の半年くらい前に全体で合宿をするという噂もある。その方が医師がコンディションを管理できるとか、マッサージ師がいるとか利点がある。日本のトレーニングセンターみたいな感じかな」
--日本で育ち、日本でトレーニングしている
「プラスだと思っている。(日本とブラジルの)両方の面を見られるので。日本という400メートル障害を得意としている国で一緒に練習できて技術も磨ける。自分にはブラジルの血が入っていて、向こうの体を持っているから、両方の良い所を取れるのかなと。日本にいて『ずるい。身長があって』とか『骨格が違う』とか言われたりするけど、でもまあ違うなら、それはプラスに生かして。日本の良いところを取って、向こうの良いところを取ってと」
--冬期練習は技術系が多かった
「そこがメイン。法大の苅部(俊二)さんから話を聞いたり、一緒に練習させてもらたりして、長い距離とか技術とかをやった」
--ブラジルのコーチからのメニューは
「元からアドバイスは受けていたけど、あまり練習に取り入れることができなかった。今季は逆で9割はそっち。内容は結構、違う。自分が日本で中学、高校、専門学校とやってきて、大学の練習を見た中ではなかった。日本の場合は、やはり走ることがあっての技術だけど、(ブラジルのメニューは)体作り、インナーマッスルだとか、股関節周りの可動とかを中心にしている。たぶん(29歳の)僕の年齢的な問題も考えてのものだと思う」
-今季の予定は
「最初は静岡国際、その後、ゴールデングランプリ東京。その次の週に上海のダイヤモンドリーグに出場できると思う。7月はヨーロッパにダイヤモンドリーグも含めて行ければ。10月に(7連覇の懸かる)ブラジル選手権がある。ダイヤモンドリーグは記録を出さないと行けない。そこを、いくつか出られれば最高ですね」
■杉町マハウ 1984年11月13日生まれ。ブラジル・パラナ州出身。父方の祖父が日本人。小学2年で来日。陸上競技は小学5年で高跳びを始め、日本ウェルネススポーツ専門学校で400メートル障害に転向。自己記録は48秒67。
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