日本医療機能評価機構によると、2011年に報告された医療事故情報は前年比96件増の2799件で、同機構が「医療事故情報収集・分析・提供事業」を始めた04年以降で最も多かった。同機構では、「医療事故を報告することが定着してきていることの表れ」としている。
同機構は、医療事故の予防や再発防止のため、事業に参加する医療機関に対し、実施した医療や管理によって患者が死亡したり、予期せぬ処置が必要になったりした事例の報告を求めている。11年末時点の参加機関数は882施設(前年比32施設増)。このうち、特定機能病院など参加が義務付けられている273施設からは、208施設が計2483件の医療事故情報を報告した。任意で参加する609施設では、86施設から計316件の報告があった。
2799件の概要を見ると、「療養上の世話」に関連する事故が1155件(41.3%)で最多。以下は、「治療・処置」に関する事故が579件(20.7%)、「ドレーン・チューブ」に関する事故が295件(10.5%)などと続いた。
程度別では、死亡した事例が165件(5.9%)、障害残存の可能性が高いとされる事例も285件(10.2%)あった。
医療機関が事故と関係したと判断した「当事者」の職種別では(複数回答)、「看護師」2048件(56.5%)、「医師」1327件(36.6%)などとなっている。
発生要因では(複数回答)、「確認を怠った」の904件(12.8%)が最も多く、以下は「観察を怠った」806件(11.4%)、「判断を誤った」768件(10.8%)などの順だった。
■ヒヤリ・ハット事例情報も初の3万件超え
誤った医療が実施されたが、患者への影響が認められなかったり、医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見されたりした事例を集める「ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業」でも、日本医療機能評価機構が厚生労働省から事業を引き継いだ04年以降で最多の3万1549件(前年比6244件増)の事例情報が寄せられた。
事例の概要は、「薬剤」に関するものが1万4099件(44.7%)で最も多く、以下は「療養上の世話」に関する事例が6109件(19.4%)、「ドレーン・チューブ」に関する事例が4617件(14.6%)などと続いた。
このうち、実施される前に発見された1万4734件の事例について、実施された場合に想定される影響を見ると、「軽微な処置・治療が必要もしくは処置・治療が不要と考えられる」事例が1万3854件(94.0%)とほとんどを占めたが、「濃厚な処置・治療が必要であると考えられる」事例が514件(3.5%)、「死亡もしくは重篤な状況に至ったと考えられる」事例が366件(2.5%)あった。【佐藤貴彦】
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