「Pearl パール」 | 定年後の風景

定年後の風景

定年後や病気のこといろいろ書いてます

 

2022年米国作をアマプラ432作目となります。ドラマシリーズの前日譚を、1本の映画化したようです。まあ殺人狂気を描いてましたから、これはもう中々30分夜更かしして最後まで見てしまいましたよ。

 

見てると気持ち悪くなって来て、最後まで熱心に見ましたから、これは夢見るかもと心配しましたが、何とか無事に見ずに済み、却って一生懸命映画に入れ込んだので、却ってすっきりしてよく眠れましたよ。

 

まあ、ある殺人狂の少女の生い立ちと生活を描き、サイコ、ホラー、スプラッターでおました。まあ作ってる方も半分狂ってると思いましたよ。まあ少女役も殆ど狂った演技をそのまましてました。これもまあ、陰鬱を極めるとギャグまで行ってしもうた稀有な作品の一つではあったと思います。

 

「タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演のホラー「X エックス」のシリーズ第2作で、1970年代が舞台だった「X エックス」の60年前を描く前日譚。「X エックス」に登場した極悪老婆パールの若き日を描き、夢見る少女だったパールがいかにしてシリアルキラーへと変貌したかが明らかにされる。」とあります。

 

この「X エックス」とそこに登場する「極悪老婆パール」を見たいものでした。知りませんでした。ムッチャ面白そうで、今この時点で既にファンになりましたよ。こんな知らない作品未だあるんですなあ。結構映画話題のサイトは巡ってますが、ついぞその噂は知り得なかったですな。

 

ああまた楽しみが一つ増えましたわ。「X エックス」とはどんな作品だったのでしょうか。こう言う傾向のものは、常にアンテナ立ててるんですけどね。先ずはこの情報の通り、超田舎の一軒家で少女パールが、毎日同じ作業服来て、家畜の世話をやり続けてます。

 

さらにまた、全身不随で車椅子に座り続けて喋れない父親の介護の全てを黙々とこなしてます。そこには超厳格な母親が居て、全て躾けられて、全ての用事を指示されて、これはもう十代の娘パールには、がんじがらめで逃げ出すことも出来ない狂気の萌芽が宿します。

 

まあ単純には、何もかも捨てて逃げ出すのが常道ですが、パールにはダンスのオーディションに合格して、やっぱり逃げ出すつもりでいて、同時に殺戮の狂気も宿しており、愈々徐々にそちらに負けて行く様を描いているでしょうか。

 

(以下ネタバレします)最初は、飼ってた白いアヒルを、大きな長い3本の刃が出た鋤でグッサリ刺し殺します。そして血だらけの遺骸をどうするかと言うと、沼にいる巨大鰐に食わせます。この鰐は、何でもかんでも死体処理に大活躍します。

 

アヒルは丸ごと食われ、死体は何も残りません。強いて言えば、血がついた白い羽根はそこらに散らばって残るでしょうか。あ、パールは結婚してましたが、新婚の旦那さんは1次大戦の欧州に出兵したままで、便りも来ず、その意味でも悶々として、もう破滅寸前だったですね。

 

それで父親の薬を買いに町に出た時に、母親に内緒でダンス映画を見ることにして、ここで映写技師の男前に声掛けられ、いつでも好きな映画見せたるよと誘われます。パールはこの帰り道に、トウモロコシ畑に迷い込み、案山子と騎乗位の自慰までして、性的にも狂いかけてると分ります。

 

そしてまあ悶々と日常作業を続けてると、とうとうオーデイションに行く日となって、母親と決定的に諍いとなり、母親と激しくもみ合う内に、母親のスカートに暖炉の火が燃え移り、大火傷を負って死にかけた所を、地下室の階段へと突き落とし、扉を閉めて、実質母親を殺しました。

 

父親は食事時だったので、食卓の椅子に座ったまま、なす術もなく驚愕しながら、それを見つめるだけでした。パールはその夜、興奮したままボロボロの出で立ちで映写技師を訪れると、内緒のフィルムを見せてくれて、それはポルノでした。

 

欧州では流行ってましたが、米国では禁止のようでした。その夜パールは、映写技師に抱かれ、翌朝オーディションのために車で送ってもらいます。しかし技師はパール家の異様な雰囲気に恐れを成し、俺、もう帰るわと、さっさと車に乗って逃げようとすると、パールは今、馬鹿にしたわねと、例の大きな鋤持って車を追いかけて来ます。

 

そして、技師の腹をグサッと一突きし、続いて胸も突き刺して半殺しにし、留めは頭に鋤を突き立てて哀れ技師を絶命させます。勿論最後は必死で車を押して行って沼に沈めます。すると当然御馳走を前にした大鰐が静かに泳いで来てました。ま、下心はあったとは言え、この男前技師さんは可哀想でした。

 

パールは家に戻り、ダンスオーディションに合格して世界を回るから、もう家には戻らないのでご免ねと、動けない父親を、その場で布で絞め殺し、オーディション会場に自転車で向かいます。そこで、旦那の妹と待ち合わせ、オーディションを受けますが、やっぱり自分は落ちて、幻想は益々崩れて行きます。

 

この時点で、既にパールは正気を失ってますが、旦那の義妹と家に戻ると、既に玄関には蛆だらけの子豚の丸焼きが置かれたままで、パールは「あんたは合格してよかったわね」と義妹に言い、「ありがとう。でも私もう帰るわ」と義妹は家を出ます。

 

すると、またまたパールは長い鋤を持って、歩いて走って義妹を追いかけ、グサッ、グサッと背中から何度も刺して殺し、勿論沼に運んで鰐に食わせて証拠は残りません。勿論こうなると、娘が帰って来ない、と親から捜索がかかり、パールの家に警官が行くと、父母の腐った遺体をテーブルの椅子に座らせ、自分も一緒に食事取ってて、蛆だらけの子豚の丸焼を、既に半分くらい食べてたのでした。

 

と、そう言う物語でした。あ、このあと少しだけ、腕切り落としたり、首斬り落としたりの、リアルスプラッター画面が追加されてました。地下室に行くと、死んだ父母が座ってる幻影が出て来たり、まあ言えば見てる方も少し頭がおかしくなって、ここまで来ると、もうコメディギャグにまで至らんとする、久しぶりの究極の鬱映画だと思いましたよ。

 

評価は上々で、いくつも賞を取ってます。また狂気の演技した主役のミア・ゴスは、脚本と製作総指揮してて、やる気まんまんなのでした。この前日譚は3部作あって、あと2作は既に製作中とのことでした。ああ怖面不気味恐怖映画ではおました。

 

なんかこう人間の本能と言うものを解放してまんなこの映画は。あ、最後は旦那がようやく戦場から帰って来て、この最後の情景を見て、パールが「お帰りなさい」と狂人猛演技で涙しながら迎える場面で終わってました。