「「ゴジラ-1.0」、じつは「時代考証」の観点から見ても「ものすごい映画」だったといえるワケ」 | 定年後の風景

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まあ素人のマニアが書いた記事では無く、実際の映画やドラマの時代考証を行い、また時代考証のプロをも指導するプロが書いた記事でおました。素人から見ると所謂ミリタリーオタク、通称ミリオタの禁断の厳格分野となります。

 

この方はプロですが、素人から見ると個人的には、これは最も恐らくは誤りは絶対許されない最も厳しい分野となります。個人的な感じでは、軍用車両や兵器などの機器が絡んで来ると、少し穏やかとなり、また自分のような、銃器類となると、見た所は最も性格的に穏やかで多少間違っても許されると感じてます。

 

尚、自分のテリトリーは、ベトナム戦くらいまでの小型銃に限られて来ます。現代銃や大型銃は今尚、鋭意勉強中でおます。あとは少し前の戦闘機位まででしょうか。ゴジラ-1.0で指摘見たのは、特攻に行く神木隆之介が長髪なのがおかしい位でしたか。

 

私は見てないので何とも言えず、また考証上も分りません。この記事は、髪型もほぼ正確で、指摘はありませんでした。筆者の立場や、作業の内容の分り易い説明を読んで行くと、早速「考証をおろそかにした作品に名作はないというのも事実である。」と言う名言が出て来ます。

 

これはSFでも何でも同じです。名作ほど異常なほど細部に拘って来るのは明らかです。やっぱり映画は細部から成り立っているのは間違い無いです。読んで行くと、そらもう多分すぐ忘れてしまうでしょうが、端的に勉強になる豆知識が次々と出て来ます。

 

「同じ軍医でも旧帝大と慶應義塾大学の医学部卒業者は海軍に入ったその日から軍医中尉になり、それ以外の旧医専卒業者は軍医少尉からのスタートになる。」とあり、入学と同時に中尉だったり少尉になるのは知りませんでした。これは役立ちそうです。

 

「登場シーンごとに服装と階級章が変わり、復員するシーンでは、少尉で復員した人がじっさいに着ていた、階級章を剥がした跡も生々しい軍服を衣装部に貸し出し、それを再現してもらったりもした。」ともあります。

 

「プライベートライアン」でも、話が進むごとに、ちゃんと階級章が僅かずつ変わって行ってると指摘してる方が居られました。多分軍服そのものが変わるんでしょうかね。

 

「旧海軍では絶対に存在しない海軍兵学校出身の「少尉」の戦闘機乗りが真珠湾攻撃のシーンで出てきたり(これはよくある。海兵出身者は飛行学生を卒業する前に中尉になって部隊に出るからあり得ない)、階級章が左右逆についていたり、

 

士官の短剣が時代劇の脇差のように本来とは逆向きに吊られていたり、零戦に本来とは反対の機体右側から乗り込んだり、海軍士官が軍服姿で雨傘を差したり(明治5年の太政官布告「海軍武官手傘禁止ノ件」で禁じられている。現代の自衛隊や警察なども同様)、

 

短剣を吊ったまま椅子に座って会議をしているなど、あくまで「見る人が見れば」だが、興ざめしてしまうシーンがてんこ盛りになっていたりする。」海軍兵学校出身の戦闘機乗りは、卒業時に中尉になっており、少尉は居ないのですね。

 

「士官の短剣が時代劇の脇差のように本来とは逆向きに吊られていた」とは、柄が前に吊られてる意味でしょうか。余り柄が前に吊られてる映画は見たことありませんね。大概は柄は後ろで鞘が前ですよね。零戦の乗り込み側は、機体左側だけとは知りませんでした。

 

海軍士官が軍服姿で雨傘を差すのが禁止も知りませんでした。そう言えば見た事無い気がします。傘差してたら変ですよねえ確かに。自衛隊や警察も同じで、確かに見たことないですね。必ずレインコートと帽子かヘルメットですよね。

 

短剣を吊ったまま椅子に座って会議をしているのはおかしいんですね。これは見た事ある気がします。前線でもしないんですかね。これらのあと、最後の方では考証担当は「いずれも私が存じ上げている、現在の日本でこれ以上は求められないような第一人者たちが揃っていて、なかには出演までしている人もいる。」と言うことなので、心して見るべしと思うのでした。

 

「呉の「大和ミュージアム」や「筑波海軍航空隊記念館」など、国内の主要な資料館もこぞって協力している。」ともあります。確か震電の実物大模型も撮影に貸し出されてた筈です。次に登場する零戦は、

 

「50番(500キロ爆弾)の懸吊金具や、爆弾の安全装置の風車押さえ、重い爆弾を抱いたままの着陸で主脚のオレオ(緩衝装置)が縮みきった状態でガタガタしながらの地上滑走など、ここまで細かく再現した映画はこれまでなかったのではないか。」とあります。

 

どれも多分映画見てても気づかないと思いました。また敷島少尉はさっきの階級の話から「学窓から海軍に身を投じた予備士官の少尉であることは間違いない。」とあり、これらは奥深い話ですなあ。とてもゴジラ映画とは思えず、スタッフ全員ミリオタかと思わせます。

 

原作は無く、オリジナルストーリーですよね。ノベライズ本はあるようですが。あと注目すべきは「考証的な見地から特筆すべきは、敷島が終戦後、実家の焼け跡に帰るシーンでの、階級章を外した海軍の第三種軍装の着こなしのみごとさである。」これは見ても分りませんが、よく味わうべきと思いました。雰囲気で分るかな。

 

そして暫く読むと「旧海軍では戦艦や空母、巡洋艦など、艦首に菊の御紋がついた「軍艦」と、駆逐艦、潜水艦その他の艦艇ははっきりと区別されていた。軍艦の艦長は「艦長」と呼ぶが、たとえば駆逐艦、潜水艦の艦長は「駆逐艦長」「潜水艦長」と呼ぶ。

 

軍艦の艦長は原則として大佐、まれに少将があたるが、駆逐艦長、潜水艦長は(ドイツに派遣された伊号第八潜水艦長内野信二大佐を唯一の例外として)、中佐または少佐、さらに小型の艦では大尉が務めることもあった。

 

駆逐艦、潜水艦は基本的に4隻一組で「駆逐隊」「潜水隊」を編成し、駆逐隊、潜水隊を率いる司令を、軍艦の艦長と同格の大佐が務める。」と書いてます。全然知りませんでした。あとは震電の計器板が正確だとかあり、この人物設定や各種考証のあまりの正確さから、筆者の方は最後に「続編を期待したい。」とありますね。