「セルビア・クライシス」 | 定年後の風景

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2018年セルビア・ギリシャ合作をアマプラ235作目となります。戦争映画なので見ました。すると題名通り、1次大戦セルビア戦の、力入った大作国策大河映画でおました。よく出来ていて、俳優演出など、全て大変な映画力あるものと、感心してしまいました。

 

トルコのように、これは国策映画である、などと大々的な説明書きなど出ず、国民性でしょうか。ひと頃の国策大規模ソ連映画を見てる感じだったでしょうか。雪深い山奥で、大規模撮影しており、これはもう撮影自体が国策に近いものだったと思われました。

 

一人の、多分高名な英雄的将軍を中心に描かれ、しかし若者やその友人、母親や、一人の子供まで出て来て、大きな話から、細かな身近なことまで、感動的にうまくまとめ上げてると思いました。その撮影の迫力たるや、一見の価値があります。

 

ただし、困ったのはどこで、どういう戦いしてて、何をしていたのか、無知故に分らなかったことでした。セルビア人や、知ってる人はもっと感動出来たと思いました。1次大戦ですから、独軍が攻めてきて、祖国防衛のために、我もと志願して戦ってます。

 

しかし、将軍の一団も、やがて幾多の死者を出しながら、極寒の山岳を行軍して、ついには海辺に到達して、勝利すると、そういう内容を主に描いてました。するとWikiに早速、「セルビア王国とその国王ペータル1世を描いている」とあり、そう言えば国王と呼ばれていて、戴冠式もやってましたね。

 

原作と言うか、英雄譚があるようです。WOWOWとDVD版があるのみとのことです。う~む、最初に少し説明出て来てましたが、例の1次大戦勃発の原因となった、オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子夫妻が、暗殺された、サラエボ事件ですね。

 

その犯人が、セルビア人で、よってセルビア王国が、帝国に攻め込まれたのでしたね。細かいことは忘れてます。事件名だけはテストに出ましたから憶えてます。まる憶えでも教育の効果ですか。この暗殺者は、勿論、私怨で撃った訳では無く、当然と言うか、れっきとした、数人の政治テロ組織の一員でした。

 

なので、当然、戦争にも突入することになります。暗殺にはセルビア軍も噛んでて、これは明らかに国同士の戦いしてたですね。1次大戦と言うと、独軍戦ですが、ドイツはまだ出てきませんね。それで、Wiki読んで行くと、結局、セルビア側は、宣戦布告的に暗殺してました。

 

しかし、結構、暗殺テロは裁かれて、しかもオーストリア・ハンガリー帝国には、戦争として結構、圧されて、幾多の苦戦悲劇を生んだと言うことのようです。うむむむ、すると結局やっぱり、この開戦のきっかけとなった暗殺テロが、艱難辛苦の果ての、止むに止まれぬものだった気がして来ますね。

 

艱難辛苦の緒が切れた忠臣蔵か、はたまた真珠湾攻撃のようなものだと分って来ます。だから負けてる戦争のようですが、セルビア人自らは、この苦闘の歴史を知ってるのでした。これを知らないと物語は理解し難いです。負けてる退却行軍なのに、何故英雄譚なのか。

 

学校では戦争始めた暗殺が悪い、と教わったような、意味は教えなかったような。勿論、自分の国の真珠湾攻撃のことなど、一言も教えないと言うか、禁句でしたな。今の国がよって立つ、いっちゃん大事な現代史を、学校で教えないのは日本だけでしょう。無害な縄文時代は一生懸命教えてもね。

 

う~む、こうして最小限の情報で見ていくと、初戦は、セルビア王国軍は、帝国軍に追い上げられて、しかし只、壊滅するのでは無く、国王自らが大軍率いて、冬の難行軍して、ついには海に辿り着き、味方もしくは、連合軍の艦隊に助けられて、体制立て直したですね。

 

そして、独軍主体の同盟軍と、世界戦争と言うか欧州大戦となり、連合軍の勝利へと、歴史が流れた、その苦難のセルビア史を、小説と映画にしたのでしたね。セルビアの人達には、多分学校でも習って、皆が知る英雄史なんだろうと思いました。

 

しかし、そもそも、帝国軍は何か悪いことしてたのか、あ、王政を否定してた、思想政治体制だったので、宿敵だったのか、この辺は中々、おいそれとは、不勉強者には理解できないものなのかも知れません。欧州史西洋史など、曰く因縁ずう~と繋がってますさかいにね。宗教も絡んで。

 

アフリカの人類発祥の地で、既に諍いが始まってたかも知れまへんで。あいつが獲物取ったとか、木の実取ったとか。その恨み因縁が、今日の共産主義と自由主義の戦いに、繋がってる気もするのです。SF的だっしゃろ?SFでは歴史もこう言う風に見ますねやわ。

 

しかしまあ、本作に戻ると、割と欧州の人達には周知の流れかも知れませんが、その他の人達にはすぐには分り難い内容だったかも知れない、とは思ったのでした。

 

(以下ネタバレあります)出征した若者は優秀に戦った末、遂には雪の退却行軍で、本隊とは離れて子供を守って、自らは凍死し、子供は国王自ら出掛けた捜索隊によって助けられ、最後に海に到達した後も、特別に国王から伍長に任命され、元気に活躍してるのでした。

 

若者の母親は、手紙が来ないので、息子を追って隊を訪ね歩き、その途中で、偶然、国王の行軍と会い、これを渡してと、編んだぶ厚い靴下を、名前を言って国王に手渡し、国王は名前伝えて、会えそうでしたが、遂には会えた時は、山で凍死して亡くなった後だったという話でした。

 

途中で、家族皆殺しされて合流した、この子供が死んで、悲しみを誘うと思いましたが、そうはなりませんでした。砲兵隊の話でしたが、もう少し専門的な話とか、発射の反動の工夫が欲しかったですね。戦闘シーンはよく出来てましたが、前半だけの話でもあり、余り印象には残らなかったです。