「アデライン、100年目の恋」 | 定年後の風景

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2015年米国作をアマプラ173作目となります。まあ、変わらずお勧めとかに出て来るのを順番に見ていると、こうしてやっぱり10本に1本は本格作出て来て、ほっとしてじっくり観て味わえます。軽い作品はあんまり見続けると疲れます。徒労感かも知れません。

 

予告見ると、ハリソン・フォードも出て来てびっくりです。これは腰据えてゆっくり観れます。そう外れは無いことになります。しかも一応SF的です。不老不死になった29才女性の艱難辛苦を生きる話となります。原因が物理的でSFしてます。呪いとかファンタジーの類いではありません。

 

不老不死で現代世界を生き抜くのは、それはもう大変です。最初に出て来る場面は、免許証や保険証の偽造をプロに頼む所からでした。あとはバレないように、逃げて生きる抜くことになります。自殺しなかったのは偉いと思いました。

 

また不死を生かして、何か役に立って楽しんでると言うことも無いようでした。まあ運命を呪い、苦心惨憺してるの風だったでしょうか。美人で若かったですから、まあ何に困るかと言うと、恋愛出来なかったですね。

 

どんどん相手だけ年取って行き、若いままの自分は化け物と思われますわな。これは秘密にしても、話しても同じですわな。化け物に変わりはありません。なので若いままでよいのですが、相応の苦しみを味わいながら、どう生き続けてよいのか悶々として暮らしていたでしょうか。

 

29才で不死となりましたが、娘が一人居て、今は老婆となってて、娘には打ち明けて、娘も受け入れていて、離れて暮らしてても、一緒に生きているのもまた立派だったでしょうか。個人的な感じでは不死は死んでます。死ぬからこそ生があるのは確かなように思えるのでした。

 

本作はフォレストガンプの女性恋愛版のように思いました。フォレストは幾多の時代を生き抜き、不死のように思ってましたが、生まれた時から、少年時代から、青年期までの長い時代の波乱万丈の人生を描いてるように思え、何故不死のように思いこんだですかね。

 

本作の女性は1908年に生まれ、1937年に29才で、好きな自動車を運転してて、事故を起こして、氷りそうな湖に転落して、天体と天候と落雷と湖の水温の偶然が重なり、死なずに奇跡の不老不死となったのでした。

 

(以下ネタバレします)ちょうど2次大戦戦前に不死となり、苦労して自分の昔の記憶を生かして、また調べるためにも、シスコの地味な歴史資料館のような所に勤めてます。家には猫を飼ってますがもう何百匹も死んで分厚い写真帳を残してます。

 

するとある時、好青年が近づいて来て、よい感じなのですが、諦めないとと思いながらも、やっぱり諦めきれずに葛藤の末、まあいいかと、一歩進めてしまいます。青年は自分の立ち上げた会社でひと儲けして、その会社は友人に売って、今はこの資料館の理事してました。

 

それで、実はかねてから彼女を目に止めていて、ついに近づいて来たのでした。ま、彼女は秘密隠して、それでも離れられずに、いつかは必ず破局すると分ってて、禁断の恋愛進めていかざるを得ないのは切ないのでした。

 

そしてしかし恋愛は進み、青年の両親の結婚40年記念のパーティに紹介兼ねて呼ばれて、車走らせて会いに行きます。深みに入れば入るほど辛さ増すのが分ってても、諦めきれない哀愁と苦闘が続きます。最早いつ真実告げるか、またはそっと別れて消えるのかのせめぎ合いが頂点に向かって行きます。

 

そしてまあ長い車の旅を終えて、両親宅の近くで、同じ様に家に向かって歩く妹さんを拾って、両親に会います。するとまあ、あっと、どうしましょう!数十年前に付き合ってた彼氏が年老いて現れましたっ!この父親をハリソンフォードがやってました。このために配役され出て来たですね。

 

ハリソンは、ちょちょっ待ってや、あなたアデラインでしょう?と昔の名前言います。あ、それ母です。よく似てると言われます、とかわしましたが、思い出して来てエライこっちゃとなります。昔の彼氏やん。十代から一人でオープンカー乗りまわしていて、その時も故障して立ち往生してました。

 

すると、自転車で通りかかった若きハリソンフォードが、お嬢さんどうしましたか?と声かけてチャチャッと直してあげると、アリガトーとサーッと走り去って行きましたが、だいぶ走ってからやっぱり戻って来ました。このシーンは良いですね。

 

ここから彼女とのフツーの付き合いしてて、結婚して今の娘生まれたのか、そのあと29才で事故して不老になって別れたですか。そうなると昔とは言えかなりややこしい関係となり、元カノの娘とは言え、あんまり拘るので、そら奥さんもエエ加減にしてよと怒り出します。

 

息子の彼女の母親が元カノと言うだけでも、かなり際どい話だすわな。フツーは奥さんには黙ってますな。そしてまあ二人きりになっても、女性は打ち明けませんでしたが、とうとう昔ハリソンが縫った手の傷を見つけられて、あっ、やっぱり本人やんかと、見破られます。

 

女性は慌てて夜道を車で逃げだすと、またなんとその夜に限って、季節外れの雪がチラついて低温となり、道路際の湖の水温も低温となり、またぞろ雷が落ちた時に、何やら月に彗星が衝突し、これらのことが同時に起こった時に、またやっぱりハンドル操作を誤って湖に転落してしまいます。

 

そして、まさに死なんとする時に救急隊に救助されて、人工呼吸されて病院に搬送されると、意外に軽症で命吹き替えし、駆けつけた彼氏に真実を打ち明け、駆けつけた老婆の娘は、自らを祖母と挨拶しましたが、女性はもう全部話したよと言い、初めまして娘ですと微笑んで挨拶出来たのでした。

 

場面は1年後となり、彼氏とは無事結婚してて、お洒落して二人で出掛けようとする時に、ふと鏡を見ると白髪が1本生えてるのを見つけ、晴れて老化が始まったのを喜びを以て眺めるシーンで映画は終わります。ハッピーエンドで終わりました。

 

こうしないと、まるでドラキュラの如き不死映画となり悲惨極まりないですわな。こうして老化と死と言うものが如何に貴重なものかを感じさせてくれる、珍しい映画でもありました。明らかに生は死の反対側にあると思い知らせてくれました。

 

主演のブレイク・ライヴリーは魅力的で、よい演技してたと思います。年老いた娘は、どう見てもハリソンの娘と思いましたが、そうなるとかなりややこしいですが、映画では明かされなかったと思います。それと、なんか知りませんが、父子で一人の女性と関係持ってることバレるでしょうね。

 

元カノの女性が出て行った翌日、ハリソンは目出度く盛大に、ちゃんと奥さんと結婚40周年の記念パーティを開いて、永遠に愛してるよと言って奥さんは満足してました。終盤、これはひょっとしてまた同じ奇跡が起こって元に戻るのではと予感すると、やっぱりその通りになりましたが、ハッピーエンドなので良かったと思います。本作の評価と興収はまあまあだったようです。