「エクス・マキナ」 | 定年後の風景

定年後の風景

定年後や病気のこといろいろ書いてます

 

2015年英国作をアマゾンプライム見第13弾となります。AIロボットものですがさすがに欧州風しっとり感があります。逆に言うと派手さが無いので悪く言うと単調となります。まあテーマ的には欧州映画で合ってます。さらに言うと米国作ではこの落ち着きは作れないでしょう。面白いでしょうが娯楽作に堕します。

 

検索エンジン会社のプログラマーが抽選で選ばれて山奥の謎の社長宅に呼ばれ完成されたAIロボットそれも女性外観と引会わされ何の目的かは知りませんが要は呼ばれた社員の反応見ていくの話しとなります。社員なのかロボットなのかどちらが試されてるのかは分りません。

 

はたまた社長自分自身の反応も見ているのかも知れません。しかもロボット達は魅力的な絶世の美女に作ってあり社員は独身若者彼女なしで選定されているので相当に性的な偏った内容となります。社長は髭面小太りおじさんで筋トレしてますが一人でこの秘密の社屋か別荘で美女ロボット何体も作ってます。

 

しかも実際性的な行為にも及んでいて高級ダッチワイフ研究所で自ら体験しながら製作してる超変態ジジイのようにも見えます。まあ全体として恋愛や性的な偏り多過ぎでしょう。結構観念的な難しい話ししてますが文明的な話しは無くマッドサイエンティストの閉塞感強いです。

 

若者の社員はこれに巻き込まれて行きます。まあ若者はヘリで山奥社長宅に運ばれ一週間最後までこの中で人間二人と高級AIロボ二体だけで話し進めますから変化少なく静かで下手すると寝てしまう結果となります。途中大きな転機点も無く只淡々と最後の破滅に向かって行くだけです。

 

ただしさすがに主役となるAI美女ロボットのデザインとCG描写は見事なセンスで作られておりアカデミー視覚効果賞を取ってます。5年前だとCG技術としてはまあよく出来てる範囲だとは思いましたが。既にその5年前にインビジブルで透明人間描いてますね。こちらはかなり画期的でした。

 

(以下ネタバレします)ある日その社員は社長宅招待者に選ばれやったーとなりヘリでとんでもない山奥の人里離れた研究所兼社長宅に呼ばれます。今回の話の経過から言っても初めてだったでしょうか。そしてまあ開発中と言うか完成した美女ロボットのエヴァに会わされます。

 

顔面人間で胸部と腰部が外皮で覆われてる以外は内部のメカが透けて見えるようなそれでもそれら含めて極めて美麗に出来てました。いやメカであるが故の美しさというものを醸し出してます。まあこのデザインは研ぎ澄まされ尽くしていてこれ以上は無理でしょうの境地に至ってる見事なものでしょう。

 

逆に皮肉に言うとこのあまりの見事なデザインで力出し切ってしまい内容が追いついてない皮肉さがあるかも知れません。彼女は完璧に話し反応し初対面から若者を誘惑モードに入ってます。若者はメカフェチかどうかは知りませんがメカを含めたと言うかメカが故に圧倒的な彼女の美に惚れていきます。

 

まあこの辺も含めて社長の陰謀の臭いも漂います。そして話しや接触進めて行くとある時停電が起こって監視カメラが停止した時に驚くべきことに彼女は社長はワルで間違っていてここから出たいとか耳を疑うようなこと言い出します。停電が終わり監視が始まるともとに従順に戻ります。

 

う~んこれもまあ含めて社長が反応見たりテストしてるんちゃうやろかの疑念持ちますが青年は初心で惚れてきてますから彼女の言葉を信じて混乱してきます。社長はやはりどうや惚れたやろうと言って来て女性機能もあるから寝たらどうやとかも言って来ます。変態なのかどうか。

 

AIロボのテストか高性能ダッチワイフの研究かの怪しげ卑猥感漂いますがそれは見る方の助兵衛度合いで見方変わるでしょうか。これら両方テストしてるのかも知れません。この間も二人は観念的話しを繰り広げますがそれほど盛り上がりません。

 

何せ若者は禁断の女性ロボに恋すると言うか恋させられてますからまあ盲目混乱状態に陥ってます。何をどうしてよいのやら。ほんまに彼女を抱いてよいのか。自分のやってることやろうとしてることが狂気の沙汰にも思えてきます。

 

しかも頻繁に起こる停電ごとに外に出て人の一杯居る交差点に行きたいとか言ってて服まで着出すともう普通の可愛い女の子です。しかもやはり彼女は何か開発者の社長のこと嫌って怒ってます。それでまあ青年も気になって色々社内の秘密探って行きます。

 

すると今まで開発したロボットがやはり外に出たいと暴れて自損したりしてる酷い映像が出て来たりします。そして惚れた弱みと同情心でついに社長を酔わせて彼女と二人して脱出しようと企みますが案の定社長には見透かされていてそれはあかんでといなされます。

 

そしてとうとう彼女ロボと居合わせていると彼女に何かヒソヒソと耳打ちされてた社長秘書ロボットがいきなり長いナイフ出してきて社長の背中をグサ~と突き刺します。グエ~何でと社長は驚愕してそれでもフラフラと今度は太~い金属棒取り出して秘書ロボを倒そうと反撃して暴れます。

 

しか今度は正面から胸のど真ん中をこれまたグサ~と一突きされてついには血だらけで倒れて絶命します。秘書ロボは反撃くらい倒れてます。成行き見てて青年は仰天しますが部屋に閉じ込められ彼女は欠けた部分の皮膚を他の個体から継ぎ足し鬘被って洋服着て一人で建物出てついに憧れの外に出て行きます。

 

そして迎えに来たヘリに悠然と乗り込みそして次の場面では念願の都会の雑踏の交差点を晴れやかに歩いて満喫している場面で映画は終わります。深淵な話ししてるようで実は単純な展開でSF味からは離れてるでしょうか。

 

実は社長自身が既にロボットで遺体はホルマリン漬けされてて家中既にロボットだらけで支配されてたり青年も実はロボットだったりはたまた脱出した女性ロボットはレプリカントよろしく同型量産して人類の半分はロボットになってたりとかのSF風味は監督は興味無かったようです。これは米国味だったでしょうか。

 

迎えのヘリにどうして乗ったのでしょう。社長からの指示のように偽装したかパイロットは殺して自ら操縦して社会に旅立ったか。社長宅は警察に捜索されたんだろうか色々気になることはありますね。

 

と言うかAIとか検索エンジンとか言ってる前にあのメカの方がアンバランスに凄すぎませんかの感じでしょう。頭脳はまた後でと言いたくなってきますね。しかもメンテは社長一人でやってますか。ノーメンテなのでしょうか。メカフェチは殆ど無くひたすら情緒に流れてるでしょうか。秘書ロボットが全裸で出て来ますがさすがに配信だとボカシ無くて自然のままで変な所に感心してしまいます。

 

ロボットの話は難しいです。人類の存続そのものが関わって来ます。しかし種々CGで自在に描けるようになりましたがそれほどの根源的な名作というのはまだ無いと思います。未だにHALを超える迫力AIは登場してない気がするのでした。