「弾丸を噛め」 | 定年後の風景

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1975年米国作をBS録画見でした。題名聞いた気がするし、ジーン・ハックマン、ジェームズ・コバーン、キャンディス・バーゲンなど錚々たる名だたる中堅どころ俳優出てるし、西部劇だし、そう崩れるものでは無かろうと見ていると、これはもうとんでもない大掛かりな超駄作でした。

 

録画を見終わりかけだったのでいつもより少し延長して最後まで見てから寝ましたが、呆れかえってものも言えず、しばし一人部屋で大きな苦笑い浮かべながら、ここまで落ちるかの興奮で、しばし寝つきが悪かったほどでした。

 

この腹の立ちようは、ここまで俳優揃えて、一大ロケ敢行して、金かけて大作仕立てで、大勢巻き込んでここまで駄作に出来るかの腹立しさでした。脚本無茶苦茶でしょう。前の日に思いついたことをそのまま作品にしましたか。小中学の思いつきレベルでしょうか。

 

監督は名前も通っているリチャード・ブルックスで本作でアカデミー録音賞取ってます。重鎮の西部劇大作ですから賞無しと言う訳にも行くまいでしょうか。そしたら、何故に早送りもせずに2時間10分の長尺を見ていたかと言うと、これはもう、荒野とか砂漠をただひた走る馬と人の描写が繰り返し繰り返し出て来て、それはもう見事な造形と、スタントマンの操馬術の巧みさでしょうか。

 

俳優本人達も近影で見事な手綱さばき見せてくれて、ただただもうそれらに見惚れて感心するばかりです。逆に言うとそれだけです。それと中堅俳優達の演技も見ごたえはあります。見てるのはこれだけです。展開など行き当たりばったり適当で唐突で伏線も無く無茶苦茶の極みです。

 

アホらしくて無能で見てられませんの典型映画でした。俳優揃えた出演料で脚本にかける時間無くなりましたか。何やら、主催者が居て、7~8人が仲よく遠足気分でのんびりした騎馬レースする映画です。賞金もあるようですが、出場者自らが掛け金も出してるようです。

 

このレース賞金だけで特に他に意味目的も無く盛り上がらず、レース途中に脈絡もなく適当に出来事が起こるだけです。盛り上がりは途中も最後も見事に何にもありません。ただただ広々荒野を走る、歩くの人馬映像見るだけの映画です。重鎮監督が、製作、脚本まで一手に抱え込んだので、自己中にはまり込んでしまいましたか。

 

(以下ネタバレします)新聞社主催で鉄道線路沿いを西部横断騎馬レースが開かれることになり当然賞金目当てで、ハックマンなどを含む7~8人が参加します。コバーンとは何故か旧友のようで、他の参加者とも異様に仲良しでお互い予想外に助け合って、遠足気分でレースします。

 

レースの説明もないままいきなり見物人が見守る中を参加者はじんわり走りだし地味にレースは始まります。一体何キロのどんなコースをどれだけ掛けて走るのかなど一切分りません。盛り上がりようが無いです。勝手にやれやのレースとなり、その通り、皆さん勝手にレースします。

 

終日走り続け何泊もしますが、皆さん何食わぬ顔してピンピン元気一杯で夜もフツーに話し、疲れんのかい、が何日も続きます。んな訳ないやろの演出の悪さです。面倒だったか。それでまあ、生意気若造が一人居てトラブル起したり年配に諌められたり、キャンディスに慰められたりの、下手くそ脚本が続き、突然大熊が現れてコバーン役が崖から落ちるスタント見せたり、キャンデイスにはメキシコ人盗賊が現れてそいつをショットガンでシバキ撃ったりのお決まりシーンが脈略も無くひとしきり続き、また例によって宿泊所では曰く因縁の身の上話聞かされたり、そんなものどうてもええわ、の展開が続き、これら全部物語に全然関係無い無責任さで、それでまあ、何故寝る時間遅らせても、最後を見たかと言うと、たぶんそう終わらせるだろうと思ったその通りに終わらせよったですね。

 

即ち、この時だけ町の人々がやおら出て来て居並び、その間をこの時だけは主役達は突如疲労困憊ボロボロメイクとなり、馬も薬か何かでボロボロフラフラになってて、最後は馬降りて、ハックマンはコバーンと仲よく歩いて無意味で大仰なスローモーション入れて一緒にゴールインしたのでした。

 

昨日までピンピン元気一杯だったのに、これはまたどうしたことでしょう。こうして幼稚園の遠足レースは父兄見守る中でめでたく仲よく終わったのでした。ふざけんなの映画なのでした。あ、キャンディスはコース途中で囚人の元彼救うのが目的のワルでしたが、こんなんも物語に全然関係しまへん。

 

わざわざレースに参加してやることかの無関係さだったですね。こういう風にして西部劇は見事に息の根絶えて消えて行ったことを目の当たりに見せてくれる映画でした。尚、緊迫意味深題名は欠けた虫歯の治療のために弾丸の薬莢を被せにして噛めのショーもない意味でした。しかも口径間違てました。