「グランプリ」撮影 | 定年後の風景

定年後の風景

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前回書き始めて雑感(4)に変わってしまったものです。これは、前々回の「ダンケルク」のF1レース版で、画期的な撮影映像に痛く感動した作品なのでした。ある時、かなり昔に、ふと、テレビ放送で観た記憶です。Wikiにも放送時期は載ってなかったですね。

 

監督のジョン・フランケンハイマーは1960年代に活躍した監督で、硬質な作風で、彼の作品は一応観ることにしてます。60年代以降は、余りバッとせず、消えていった感じですが。何も予備知識なく、いきなりテレビ放送を恐らくVHS録画で見ていると、オープニングも、確かに良いですね。

 

シネラマの大画面使って、油の乗り切った大胆な映像見せてくれます。音響、音楽もよいです。はあはあなるほど、と見入っていて、レースの画面になると、どう見ても、俳優自身が、F1を運転して、レースに参加してます。うっそーです。ほんまかいなーです。俳優達が、まともに風や振動を受け、大変な迫力です。

 

どうして、出来たの?です。3人の俳優その他のレーサーが、レースコースを、そこそこのスピードで、コースを走って競ってます。危ないやろ。運転できるのか?となります。もちろん、スティープ・マックイーンは「栄光のル・マン」で実車を運転して出演したり、「ブリット」でもマスタングを自ら運転して撮影した映像が、出てきますが、F1となると、また、話が違う感じです。

 

とにかく、F1レースものでは、俳優が実際に運転する映像は初めてと思います。それも、ちょっとだけ、というのでなく、何回も、延々と描写されます。どうみても、メインの画像にしてます。一番考えられるのは、改造車で、F1のモックアップを作って、運転者が別に居て運転し、俳優はモックアップに乗って演技するのです。

 

大体、普通の乗用車でも、この方式の撮影多いですね。しかし、今回は違います。最後には、カメラがパンして、レースカーの周りには、何も無いことを映してくれます。本当に運転してるんや、となるのでした。本作で、FIを運転する俳優は、ジェームズ・ガーナーやイヴ・モンタンで、特にアクション俳優ではありません。

 

また、Wiki見ると、俳優が運転するのは小形のF3で、素人目では判らないです。また、実際に、厄介だったのは振動の除去で、NASAと共同開発したとあります。見事な振動吸収ぶりです。これが、完成の域に達したので、本作の製作に取り掛かった感があります。

 

俳優の乗るF3車にカメラを固定し、前半では固定映像だけでしたが、後半ではパンするようになり、これも2度驚かされたのでした。見事な映像です。開発がやっと間に合ったのか、監督の希望でパン映像を撮ることになったかです。

 

それと、本作はシネラマ大画面で撮られていて、延々と前方カメラで、コースを映す場面があって、これがまた、シンプルで力強いです。「ダンケルク」もIMAXの大画面で撮っており、かの「2001年」もシネラマでした。どうも、大画面で撮る作品は、映像が勝負になるので、こうした、淡々と無機的な描写が多くて、よいですね。合わない人は眠いでしょうが。本作は、若干恋愛ものの味付けしてあり、エヴァ・マリー・セイントが、大人の魅力で綺麗でした。