なんかここのところ、亡くなった人の話題が続いていますが、今回も…
60年代に「ロネッツ」というコーラスグループで活躍した、ロニー・スペクターさんが、先日お亡くなりになりました。
癌を患っておられたらしく、享年78。
彼女は、ロネッツのプロデューサーでもあったフィル・スペクター氏と、数年間夫婦でした。
このフィル・スペクター氏、ビートルズファンの間では、かなり評判がよろしくない。
ビートルズのラストアルバムとなった「レット・イット・ビー」をプロデュースしたのはいいけど、いろんな曲に(勝手に)手を加えまくって、ポール・マッカートニーをカンカンに怒らせた、などのエピソードは、有名です。
スタジオに拳銃を持ち込んだり、など、奇行の目立つ人物で、すぐれたプロデューサーであったにも関わらず、殺人罪で収監されてしまい、去年、コロナに感染、収監先の刑務所から病院に搬送され、そのまま死亡。
いやはや、なんとも凄い人生です。
ロニー・スペクターさんは、フィルと結婚していた数年間、歌ったりパフォーマンスしたりする事を禁じられていたそうです。
何故そうさせられたのかはわかりませんが、彼女にとって、フィルとの結婚生活は地獄以外のなにものでもなかった、とか。(そのわりに、苗字を戻してないのは、なんでだろう?)
とまぁ、こんな事ばかり書くと、フィル・スペクター氏がただの奇人変人にしか思えないかも知れませんが、プロデュースした作品はどれも素晴らしいものばかり。
ロネッツだけでも、例えば
「ビー・マイ・ベイビー」
「ママがサンタにキッスした」
その他、数多くのアーティストをプロデュースしていて、彼の作るサウンド(同じ楽器を何度も重ねて録音し、分厚い音の壁を構築)は「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれ、世界中にフォロワーができました。
日本では、大瀧詠一氏がその第一人者で、「君は天然色」などの作品は、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを徹底的に研究し尽くして生まれました。
大瀧詠一「君は天然色」
「サウンド」というのは、作品が作られた時代も含めて、いろんな事を思い出させてくれたり、作品に「浸る」事ができたり、と、音楽の中で重要な役割を果たしています。
それが音楽の面白さのかなりの部分である事は疑いがありません。
いまの録音のテクノロジーは、ありとあらゆるサウンドを再現する事が可能ですが、何故かどの音楽も同じようなサウンドに聴こえて、まったく面白さを感じない。
CGだらけの映画を観ているような空虚感さえ感じて、しらけてしまいます。
まぁ、こちらの感性が古くなっているだけなのかも知れませんが…
ロネッツは、グループとしては大好きでしたけど、メンバーひとりひとりには、あまり関心がありませんでした。
とはいえ、やはり亡くなってしまうのは寂しいもの。
月並みですが、ひとつの時代の終わりをまた告げられたような気持ちになります。
合掌…
本日の歩数=18歩