雨も風も危険度の桁が違う登山の世界 | 東京・横浜物語

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西麻布に生まれ育ち、現在は横浜に居住する筆者が、
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「雨も風も危険度の桁が違う登山の世界」

 

久しぶりに登山で恐い目に遭ったので改めて書いてみたいと思います。

 

登山に復帰してから2年半くらいが経過しています。

 

元々それほど頻繁に登山をしていた訳ではありませんが、

今回の復帰ではかなり大きな登山もしているため、

かつてとは危険度が桁違いになっています。

 

そもそもアウトドアの危険性は、

都会人の場合、キャンプか登山でもしていない限り理解出来ません。

 

それも痛い目に遭わない限り分かりません。

 

かく言う私も本質的なところでそうです。

 

富士登山の世界では、

雨具はゴアテックス製の強靭な山岳専用の物でないとダメだと言われています。

 

ダウンの上下も必要だと言われています。

 

手袋も真冬の物でないとダメだ、とも。

 

さて、一般的に登山で非常に恐れられているのは、

暴風・豪雨・雷・寒さです。

(特殊な雪山登山を除く)

 

幸運な事に私はそれらを同時に食らった体験はありません。

 

しかし個別には食らっています。

 

その体験を時系列で書いてみたいと思います。

 

20代前半の学生時代だったでしょうか。

 

私は丹沢表尾根で突然の豪雨、ではなく豪雹と雷に、

それもご丁寧に稜線上で遭った体験があります。

 

これ、恐いなんてもんじゃありませんでした。

 

人間、本当に死ぬかもと思った時の恐怖度はハンパなかったです。

 

バリバリバリバリバリッと音を立てながらそこら中を直撃する雹と、

近くで落ちる雷。

 

自然は簡単に人を殺す、と言う状況を肌で間近に感じた訳です。

 

それから何十年か経過した一昨年の夏、

富士山吉田ルートの頂上にて。

 

晴れていましたがまさかの暴風。

 

風速20m/sくらいが吹いていました。

 

60kgほどの体重に10kgくらいの荷物を背負ってましたから、

合計70kgくらいの私が宙に浮きそうに何度もなったのであります。

 

飛ばされるっ!!とメチャクチャビビりました。

 

剣ヶ峰に行こう、などと言う考えはこの段階で木っ端微塵に粉砕され、

一刻も早く下山しないと死ぬぞ、と恐怖に震えながら即座に下山道に入って行った経緯があります。

 

幸い下山道は風向きが変わるのか無風で下りられたのはラッキーでした。

 

その1年後、今度は富士山富士宮ルートの下山道で。

 

天気予報では18時から雷雨となっていました。

 

私は15時20分のバスに乗るのを目指していて、

登頂後、焦らずに、しかし急いで下山をしていました。

 

時間的には充分に間に合うので安心していたのですが・・・・・

 

12時くらいに下界に積乱雲が発達しているのが見えました。

 

今、自分の置かれている状況が極めて危険で切迫しているのが分かったのであります。

 

これはヤバい、と歩行速度を上げながらも、

急峻な富士宮ルートのガレ場の連続に苦戦しての下山となっていました。

 

昼までの快晴が一転、アッと言う間に周囲はガスに覆われて、

私の視界は奪われていました。

 

不味いな、と思った途端、

大粒の雨が。

 

すかさず停止し、

急斜面に苦労しながらも雨具を着ようとしていましたが、

如何に山岳専用の着易いタイプの雨具とは言え、

手加減のないアウトドアでのこの種の行動は簡単ではありません。

 

どんどんと濡れる身体。

 

しかし何とか雨具とザックカバーを装着し、

登山を再開しました。

 

この段階で予定していた宝永山は絶対無理だと即座に中止を決断。

 

一刻も早く五合目まで下りるのを最優先していました。

 

極めて幸いな事に、私が遭ったのは本格的な積乱雲ではなく、

一過性の雨雲で、直ぐに一旦雨が上がり、

ようやく六合目に近づいた頃には雨具を脱いで猛速下山をしていました。

 

五合目に到着して直ぐ、天気予報は3時間早まり、

猛烈な豪雨となり、雷まで鳴り出す始末。

 

幸い、バスの時間よりも1時間前に到着出来たので、

全然大丈夫ではあったのですが、

富士山で遭った豪雨と雷をバスの中から目撃して、

もしあと1時間遅かったらコレに遭っていたのか?と思うと背筋が凍りました。

 

途中の道と言う道から雨水が猛烈な勢いで噴出していたのであります。

 

こんな中、歩ける訳はない、と思ったのであります。

 

そして今年。

 

富士山須走ルートからの登山において、

既に本八合目で懐かしの吉田ルートと合流し、

八合五勺を過ぎて間もなく頂上と言ったところで。

 

急に風が吹き出して初めて富士山で寒いと感じたのであります。

 

そこで汗で濡れるのも危ないので、

先ずはクライミングシャツの上にフリースを着て、

その上に古いとは言え超優秀なシェラデザインのマウンテンパーカー60/40を着ました。

 

さすがに優秀で、これにより身体部分の寒さは解消してくれたのですが。

 

何と、今迄全く体験した事のない、

「両手が異常に寒い」と言う事態に襲われたのであります。

 

首都圏の市街地に暮らしていると、

ランニング中は冬でも軍手で充分です。

 

と言うよりも軍手はかなり快適で便利です。

 

厳冬期になるとさすがに軍手では寒くなりますが、

それでも100均で売っている毛糸の手袋で充分過ぎるほど温かいのであります。

 

しかしどう言う訳か富士山での寒さは桁が1つどころか2つくらい違っていました。

 

軍手では全く寒さをしのげなかったのであります。

 

アッと言う間に手がかじかんで来て、

これはヤバいぞと言う事態に追い込まれて行きました。

 

もちろん装備だけは万全な私ですから(笑)、

厳冬期アウトドア用の手袋を取り出して即座に装着して難を逃れたのでありますが。

 

正直なところ、今迄の2回の富士山登頂から、

携行はしていましたが絶対に使わないだろうなと思っていた厳冬期アウトドア用の手袋が、

まさかの大活躍をするとは夢にも思っていませんでした。

 

リュックの奥底にしまっていたため取り出すのに苦労したのですが、

もし携行していなかったら完全にアウトでした。

 

この感覚は体験しない限り分からないと思います。

 

私は寒さには強い方なので、

絶対に大丈夫だとタカをくくっていたのですが、

そんな勝手な思い込みは富士山頂上の寒さの前にアッサリと木っ端微塵に粉砕されたのであります。

 

都会の市街地で遭う寒さと高山で遭う寒さは全く異質のモノである、と。

 

登山の世界では逃げ込める場所がほとんど無い、

と言うのが恐いところであります。

 

もし暴風と豪雨と寒さと雷に同時に遭ったらどうなるのかなと想像すると。

 

如何なるフル装備で対抗しても相当苦戦するのだけは間違いないと確信しています。

 

終わり