登山と同行者 | 東京・横浜物語

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西麻布に生まれ育ち、現在は横浜に居住する筆者が、
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「登山と同行者」


登山で最も重要なのは何か?と考えますと、

間違いなく体力であると思います。


如何なる装備があろうとも、

如何なる技術・知識があろうとも、

体力が無い限りそもそも登山は全く無理です。


体力不足で山に入ったら最後、

遭難確率は非常に高くなります。

 

そして単独登山は避けた方がいいとはよく言われています。

 

非常に厄介な事に、

加齢が進めば進むほど同行してくれる人は極端に少なくなって行きます。


もちろん加齢と共に体力も失われて行きます。

 

そして現在の遭難は高齢者が圧倒的に多く、

遭難した場合の致死率も非常に高くなっている現状があります。

 

従って同行者がいた方がいいに決まってはいるのですが。

 

そもそも中高年になった段階で、

運動をしている健康人の割合はかなり少なくなっていると思っていいかと。

 

下手をすると40代であっても既に不健康どころか病気の人は大勢います。

 

これまた非常に厄介な事に、様々なスポーツの中でも、

登山はアプローチが異常に困難な山に行く行為ですから、

健康人の中の健康人ではないと基本的には全く無理な世界となります。

 

と言うよりも健康自慢のみが出来る世界とも言えます。

 

同行者は自分と同レベルの人が一番望ましく、

ストレスも少なく済むのは言うまでもありません。

 

しかしもちろんそれは、

基本的な考え、知識、装備、体力、技術が一定以上の水準に達していれば、

と言う前提条件はあります。

 

つまり上記の技術を満たさない初心者同士が一緒に行っても危険の程度は変わりません。

 

するとこうは言えます。

 

「行く山のレベルの最低基準の条件を満たしていること」

 

例えば首都圏で一番有名な登山入門の山と言えば高尾山です。

 

ここでそこそこ本格的な登山を楽しもうと思った場合、

もちろんケーブルカーやリフトを使わずに下から登るのでありますが。

 

仮に稲荷山コースで登頂し、6号路や1号路で下山した場合、

コース定数(ルート定数)は、ネットで色々チェックしますと、

おおよそ14となりますので、

まあ、初めての登山としてはそこそこキツい感じになります。

 

・コース定数のざっくりとしたイメージ

10 入門

20 初級 普通の登山

30 中級 健脚向け 日帰り登山の限界

40 上級 健脚向け 1泊2日以上の行程が必要

 

では高尾山に行く場合、

上記のコースではどのくらいの運動レベルの人なら可能なのでしょうか?

 

先ず、絶対に間違えてはいけないのは、

山岳救助隊の著書にあったのですが、

「山で鍛えようなどと絶対に思ってはならない」

と言う鉄則があります。

 

つまり「登山とは普段からのトレーニングの成果を発揮する場所」です。


登山をすれば結果的に鍛えられますが、

決してトレーニング目的で行ってはならないと言う言葉は、

さすがに山岳救助隊ならではの視点であり、

極めて正しいと思っています。

 

山中で何かが起こった場合、

それは即座に遭難に繋がります。

 

これが下界の行動とは決定的に違っている点です。

 

マラソンならば、変な話、一緒に行った人が「疲れてもう走れない」と言ったら、

その場で中止して喫茶店でも行って一休みしてからバスや電車で帰ればいいだけです。

 

しかし登山中にコレは絶対に出来ません。

 

もう歩けない=救助要請=遭難

 

従って、登山に行く前に既に身体は仕上がってないと絶対にダメな訳です。

 

ではコース定数14の入門から初級くらいの高尾山に登る場合、

どれくらいの体力がないとダメなのでしょうか。

 

下りて来た時に口も利けないなどと言う状況は既にもう完全アウトですから、

出来れば今後も登山をずっと続けて色々な山に挑戦したいと考えているのであれば、

以下の運動能力が必要と考えます。

 

高尾山=7kmの日常ラン→理想的には10kmの日常ラン→最低レベルで5kmの日常ラン

高尾山=15kmの最長ラン→理想的には20kmの最長ラン→最低レベルで10kmの最長ラン

 

講談社ブルーバックスの最新刊「登山と身体の科学」では、

私的な体験とも極めて合致するデータが示されています。

 

それは登山能力とランニング能力は比例している関係です。

 

優れたランナーは間違いなく登山能力も桁違いに高いです。

 

ただし、その逆が必ずしも成立しないのには注意しないといけません。

 

つまり優れた登山者が必ずしも優れたランナーとは限りません。

 

いずれにしてもランニング能力を向上させた場合、

間違いなく登山能力は飛躍的に進化します。

 

上記に示した数値はあくまでも安全に配慮した若干高めに設定したものとなっています。

 

ちなみに富士登山は富士登山オフィシャルサイトのデータをベースに考えますと、

フルマラソンで消費されるカロリーは2500~3500kcal、

富士登山(吉田ルート)で消費されるカロリーは3000~4000kcalとなっておりますので、

1泊2日でするならズバリ「ハーフマラソン級体力」が要求されているのが分かります。

 

これは私的な体験的にも極めて正確だと感じています。

 

もう少し言いますと、ハーフマラソン級体力はギリギリです。

 

ちなみに私が初めて富士登山をした時のランニング能力は最長ランで35km、

日常ランで15kmになっていましたが、

登頂して五合目に下山して来た時には「かろうじて口が利けるレベル」であり、

取り敢えず「また登りたいな♪♪」と思えたギリギリレベルでした。

 

余談:

よく富士山は眺める山であり登る山ではないと言われています。

景色もつまらない、と。

はい、嘘です。

景色は抜群に素晴らしいです。

何故そんな事を言う人が多いかと言うと、

疲れ過ぎて、あるいは高山病を食らって、

景色を眺める元気もなかった人が大勢いるから、

と考えた方がよろしいかと。

実際富士山では頂上が近付くにつれて、

休んでいる人と言うよりも倒れ込んでいる人は非常に多い現実があります。

 

さてその翌年、フルマラソン能力を持って臨んだ時は、

五合目に下山した時は割と余裕がありました。

 

この点でも富士登山オフィシャルサイトの数値はかなり正確に感じています。

 

そして吉田ルートのコース定数は「42」です。

 

このようにランニング能力で登山能力を換算する方法が一番分かり易いと現時点で私は考えております。

 

ランニングは嫌いだと言う人は多いですが、

では何か別の体力指標があるのか?と考えた場合、

他の基準では分かり得ない、と思っておいた方がいいです。

 

もちろん普段から登山をしている人がいれば、

例えば先月は箱根の金時山に登り、先週は丹沢の鍋割山に登って来た、

などと言う人ならば高尾山なら全然OKでありましょう。

 

しかしこれが半年前とか1年前の話となったら、

大変な注意が必要であります。

 

その人がどんな日常生活を送っているのかが大問題になります。

 

と言うより半年も登山をしておらず、

身体も鍛えていなかった場合、

残念ながら体力はかなり劣化していると思った方がいいです。

 

登山は他のあらゆるスポーツと違って、

簡単に遭難して命を落とすものですから、

安易に誘ったり誘われたりは危険極まりません。

 

出来れば、特に中高年以上で登山をする場合、

日常的に10kmランなら楽に出来るレベルをキープしている人でない限り、

登山はしない方が無難であると思います。

 

非常に危険であります。

 

従って、私が登山をする時、

同行者を誘うレベルは、

山によって当然違っては来ますが、

「日常ラン10km」をベースに考えています。

 

走れません、などと言われたら、

もちろん「了解です!!」と即座に言って、

別の人を探すのは言うまでもありません。

 

そして残念ながら周囲にそんな人は存在していない、と。(大苦笑)


追記:

日常ラン10km。

最長ラン21km。

つまりハーフマラソン級体力。

ここが獲れると色々な意味で生活レベルが変わって来るかと。

基本的に健康をキープ出来るだけでなく、

独特の「無敵感」を感じる段階になります。

そして恐いのは、本当に既に大抵の体力勝負の場所に行けてしまえる現実があります。

従って非常に危険になります。

富士山とか北アルプスとかを本気で考え始めるのがこの段階かと。(笑)