「登山と筋トレとトレッキングポールの使い方」
昨年の8月某日、私は富士山の富士宮ルート元祖七合目の山小屋の前で、
愕然としながらも静かにふくらはぎを労わりながら腰を下ろしていた。
座ると同時に登山用ベストのポケットからミニ薬箱を取り出して、
足攣りの特効薬「芍薬甘草湯」を飲んだ。
するとさすがに特効薬だけはあり、
まるで嘘みたいに足が攣りそうな感覚は消失してくれた。
ギリギリ足の攣りを回避出来た私はホッとすると同時に、
これから始まる富士登山初日最大の山場である、
「八合目への急登」が待ち受けているのが分かっていたので、
困った事態になったと思っていた。
実はこの日の富士宮ルートは、
内心ではイージーに登れると思い込んでいたからだ。
何故なら、一昨年初めて臨んだ吉田ルートからの登頂においては、
その時点でのランニング能力は35kmで、
している筋トレはビリーズブートキャンプを中心とした有酸素運動であり、
昨年の富士宮ルートでは、
ランニング能力は既に42.195kmのフルマラソンに到達していて、
しかも2回走り切っていた。
筋トレも本来の医師の指示である無酸素運動に切り替えていて、
chocoZAPに通って筋肉化に励んでいた。
だからこそ、最短ルートと呼ばれる富士宮ルートは楽に登れるはずだと、
勝手に思っていた。
だが。
地図やYouTube動画によるシミュレーションで分かってはいたが、
六合目を過ぎてからずっと続く壮絶な急登の連続がまさかこれほどとはと驚いていた。
今だから言えるが、
実は私は六合目から新七合目を通過して元祖七合目に着くまでの間、
擦れ違う人にたまに愚痴を言っていたのである。
「去年、吉田ルートから登ったのですが、
富士宮ルートがまさかこんなにキツいとは。
こんなのがずっと続くんですか!?
これは異常にキツいです」と泣きを入れまくっていたのである。(大苦笑)
そもそも富士宮でヤろうとなど言う人は、
吉田と違ってかなり登山慣れした人が多く、
「頑張って!!」と励まされていた。(笑)
そうしてとうとう元祖七合目で足が攣りかけた、と。(笑)
さて、最大の山場である八合目までの急登を前にした私は、
ふと昨年と全く違っているトレーニング内容を思い出した。
「そうだ!!私は上半身を強化していたではないか!!」と。
「今こそトレッキングポールの特殊使用が活きて来る時だっ!!」と。
つまり。
≪腕力で突破する時が来た≫と。(笑)
取り敢えず筋トレにより、
一昨年よりは仕上がっている腕力を重視して、
体重の掛け方を思い切り変更して、
足への負担を極僅かにしたのである。
この時点ではまだこのやり方が正しいのかどうか分からなかった。
しかし他に方法はなく、
論理的にも間違っていないとは思っていた。
最近、講談社ブルーバックスから出た最新刊である、
極めて優秀な書籍「登山と身体の科学」で取り上げてくれていた。
やっぱり正しかったのだ、と確信した。
「登山でトレッキングポールを使う時は腕力が絶対に必要」
マラソンなどで脚力と心肺機能をアップさせるだけでは不充分であり、
上半身を筋肉化しておかないとトレッキングポールの真価は全く発揮出来ないのである、と。
さて、元祖七合目から八合目への急登は、
やはり自分の想像を遥かに上回る壮絶なものだった。
(動画参照)
八合目から頂上にかけて投入しようと思っていた、
ドジャースの山本由伸投手などが愛用している奥の手、
WOX高濃度酸素水とクエン酸を入れた特殊飲料は、
その時点ではまだ使えなかった。
何とか筋トレの成果を発揮しながら腕力で突破した富士宮ルート八合目への急登だった。
そうして2日はWOXを投入して臨んだのだが、
効果は覿面。
最も疲れているはずの九合目や九合五勺では、
登頂を確信出来たほどの威力があった。
もちろん富士山最高峰剣ヶ峰とお鉢巡りもあっさりと獲れた。
しかも終わって五合目に戻ってみると意外にも体力に余裕があり、
吉田をヤッた時よりは全然楽だったほど。
(登りは異様にキツかったが)
やはり、上半身も強化しておいたのは良かった。
夏場の実走ランは控えてジムのトレッドミルに切り替えていたのも良かった。
腹筋だけでなく背筋も鍛えていたし、
何よりもフルマラソンを獲れていたのも大きかった。
さて今年の富士登山・・・・・
あろう事かまさかの悪玉コレステロール退治に四苦八苦している有様。
須走ルートを予定しているのだが。
7月中旬の血液検査をクリアしなければ登山どころの話ではないのが痛いところ。
果たして出来るのかどうか。
仮に検査をクリアしても、
1ヶ月でアフリカ原住民ダイエットで落ちに落ちている体力を、
富士登山体力まで引き上げられるのかどうか。
非常に難しい状況に陥っている。(大苦笑)