「令和の登山のやり方:紙の地図と磁石の出番は・・・・・」
前記事では昭和時代に山岳部だった人と話した時、
旧石器時代かと思った事を書いた。(笑)
今回は紙の地図と磁石について書いてみたい。
昭和時代の人はこう言った。
「地図には磁北線を書いて云々」
昭和時代の登山においては、
国土地理院2万千分の1地形図と、
昭文社の山と高原地図の携行は絶対だった。
そしてこの2つと磁石は後述するが、
令和時代の現在においても必携品の中の必携品であるのが要注意ではある。
ちなみに、本当に必携品なので、
もし忘れたとなったら登山を中止して帰宅すべきだ。
今でもそれほどの物なのであるが、
昭和時代と令和時代では根本的な所で使い方が違っている。
必携品だが基本的に使わず、
「リュックの中に濡れても大丈夫な保護ケースに入れてしまっておく」
のが鉄則となる。
罷り間違っても紙の地図と磁石を使ったナビを優先させてはいけない。
間違いの元になってしまう。
理由は、そもそも紙の地図と磁石を使ったアナログ手法は、
習得が非常に難しい上に間違え易いからだ。
もっと言うと、紙の地図と磁石を使った正式な手法をマスターしている人など、
ほぼいないと思っておいた方がいいからだ。
現在の遭難実態を知ると、
小学校時代に習った地図の知識のままの人が相当多いと考えた方がいい。
そもそも山岳部や山岳会に所属しているか、
何度も講習会に参加しているようなマニアでない限り紙の地図のナビの習得は無理だ。
そんな事は無いでしょ?と思ったら、
是非とも書店で山岳ナビの本を買って読んでみたらいいと思う。
少なくとも私は登山再開に当たりそうしてみた。
分厚い本があって沢山色々書いてあるが、
これを習得するには普通に働いている人なら真面目にやっても半年はかかるはずだ。
しかも習得しても間違え易い。
令和時代の今は絶対に登山専用の地図アプリ(ヤマレコ、YAMAPなど)を最優先させるべきだ。
そうしないと命に関わる。
スマホをいつでも見えるような位置に装着して登山するスタイルを確立しておくべきだと思う。
携帯電波の入らない場所でもスマホ自身がGPS衛星からの電波を受信してくれるので、
見事に作動し続けてくれる。
勘違いしている人が非常に多いが、
「ヤマレコやYAMAPなどは電波が入らない場所でも使える」。
またヤマレコは無料版でも充分に素晴らしい性能だ。
さらに予めルートを設定しておけば、
50mくらいズレたら警告音で知らせてくれる徹底ぶり。
紙の地図と磁石は面倒で間違え易いが、
スマホの登山専用の地図アプリはほぼ誤作動はしない。
そんな心配をするよりは紙の地図と磁石を使い続ける登山スタイルを心配した方が遥かにいい。
だが、紙の地図と磁石はもう要らないのかと言うと、
絶対にそんな事はないのが厄介だ。
先ず、スマホには電池切れと言う極めて厄介な問題を抱えている。
もちろん予備の充電池と予備の接続コードを携行し、
電池切れやコードトラブルの確率を下げる必要があるのは言うまでもない。
また電子機器故に故障の可能性もある。
紛失の可能性もある。
登山におけるナビ体制は命に関わるため出来たら二重三重にしておく必要がある。
そのため紙の地図と磁石は最後の砦としてリュックに入れておくのが良いと考えている。
続いて、地図アプリには大きな欠点がある。
まあ、普通に予定通り進行している登山ならば最後まで紙の地図も磁石も出番はない。
だが「予定変更が生じた時、一気に事情が変わる」のである。
スマホの画面は小さいので、
縮小して全体を俯瞰すると文字が潰れて全く使い物にならなくなる、
と言う欠点がある。
予定変更をする際には現在地と本来の目標地点と、
変更地点を同時に表示させないといけない。
だがスマホの画面だと余程短い登山コースでもない限り不可能だ。
具体例を挙げてみよう。
非常に人気の高尾山へ行くため、
マニアックな奥高尾縦走路を使って、
陣馬山から景信山、小仏城山を抜けて高尾山に向かっているとする。
だが、何らかの事情により、
景信山に着いた段階で午後3時になったとする。
ここで必要になって来るのは計画の変更だ。
その日の日没が何時で、
今の歩行速度だとどのくらいかかるのか?
到着地を変更するならどこがいいのか?
これを検討する場合、スマホのナビでは役不足となる。
ヤマレコを使っていると、
拡大と縮小を繰り返せば何とか使用には耐えるのであるが、
非常に面倒臭いし、
そもそも当初の予定だった高尾山口までは1つの画面上では全く表示出来ない。
一応、縮小すると表示出来るのだが、
した途端、ほぼ全ての文字と言う文字は消える。
また、ルート変更の作業もヤマレコだとちょっとややこしい。
こんな時は当然時間に迫られているため、
判断は迅速に下さないといけない。
その時に紙の地図、特に昭文社の「山と高原地図」は絶大な威力を発揮して来る。
高尾山方面に進むべきか、相模湖側に下りるべきか、裏高尾川に下りるべきか。
どうするのかはその時の体力、状況により変わる。
いずれにせよ全体的な俯瞰をしなければならない時、
スマホの地図は非常にやり難い。
従って紙の地図は必携品と言える。
だが必要になる時はかなりの緊急事態だと思っておいた方がいい。
それ故、必携品の中の必携品なのである。
終わり