介護の基本が変わりつつある | 東京・横浜物語

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西麻布に生まれ育ち、現在は横浜に居住する筆者が、
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「介護の基本が変わりつつある」

 

先日、私の母が両国国技館のマス席で大相撲を観戦して来たと書いた。

 

元看護師だった母の昔の職場の友達がどうしてもお礼がしたいと招待されたので行って来た経緯がある。

 

何故なのか?と言うと、

招待してくれた身内の人が脳梗塞で倒れてしまい、

意識のないまま寝たきりの生活になっていたと言う。

 

もうダメなんですと言う友達に対して、

「意識がないから何もしないのはダメだ。

 絶対に話しかけるべきだし、

 手を取ったり、触ったり、ゆすったりして、

 コミュニケーションを取り続ける努力をしなさい。

 本人は分かっているケースが多々あり、

 良くなる事例も沢山ある。」

と断言したらしい。

 

その友人の身内の人は母の言った事を実行したらしい。

 

すると徐々に寝たきりで意識もないと思われていた人が反応をし始めたと言う。

 

それから5年くらいが経過しているが、

何と今では家族の言った事に反応して大声で笑うようになっていると言う。

 

母は物凄く感謝されていたらしい。

 

また別件で、足の悪い母の高齢の友達がいた。

 

引っ越してしまいしばらく会えないでいたが、

久しぶりに会った友達が普通に歩いているのを見て非常に驚いたそうだ。

 

引っ越した事もあり、通っていた施設を変えて、

新しい地元の運動中心型の施設に通うようにしたところ、

ガンガンリハビリをしてくれて普通に歩けるようになったと言う。


実は日本の介護にはその昔、大きな問題があったと指摘する人も多い。

 

東京大学ドイツ文学部の元教授で、NHKドイツ語会話講師もし、

ドイツ公使までしていた小塩節氏の著書で、

「ドイツの介護施設を見学した時、非常に驚いた。

 食事の時、手も上手く動かせない老人に食べさせてあげる人は誰もいない。

 皆必死になって、汚れてもいいから、時には手掴みで食べていた。

 日本では絶対に見られない光景だった。」と言うような内容を書いていた。

 

その後、寝たきり老人なる言葉は日本特有のもので、

海外、特にヨーロッパではほとんどいないと知って驚いた事もある。

 

日本のように何でもいいから生かすために管だらけにする事はほとんどないと言う。

 

新型コロナの時に広く知られて驚く日本人も多かったと思うが、

死生観がかなり違っている。

 

最近は介護施設でも、カジノ他の娯楽を提供する施設が登場しているし、

前述のような運動メインを謳う施設もある。

 

真面目一辺倒になりがちな私達日本人の場合、

人生を楽しむと言う視点を忘れがちだ。

 

高齢者や被災者は落ち込んでいる、もう楽しみを忘れた人達と見做してしまい、

つい最近まで非常食と言えば乾パンオンリーだったのを忘れてはいけない。

 

被災者だって美味しい物を食べたいし、

高齢者だって楽しみたい気持ちがある。

 

そこをどう考えて行くのか。

 

新しい介護施設が次々に登場し、

試行錯誤を繰り返しているのが今の日本の現状であり、

それは正しい姿勢にも思える。

 

罷り間違っても、かつてのような過去や歴史に理想を求めてはならないと思う。

 

我々の頃はこうだったから、ではなく、

他ならぬ当人がどうして欲しいのか、

そして何が出来るのかが問われている状況だと思う。