笑点メンバーになると言う事は | 東京・横浜物語

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東京・西麻布に生まれ育ち、現在は横浜に居住する筆者が、
東京の山の手地区の昔話や東京・横浜の生活などについて語って行くブログです。

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「笑点メンバーになると言う事は」

 

新しい笑点メンバーに春風亭一之輔師匠が大抜擢されました。

 

これについて超久しぶりに落語の世界、寄席の世界、そして笑点について書いてみたいと思います。

 

2年半ほど前に体調を非常に大きく崩しまして、

それでもコロナ禍の合間を縫って寄席や歌舞伎、能などの芸能鑑賞をしていましたが、

1年半ほど前に本格的に身体がヤバくなってからは一切の芸能鑑賞を止めてしまいました。

 

とは言え、それまではかなり頻繁に活動してましたので、

改めて今回の笑点メンバーについて書いてみたいと思います。

 

先ず、昭和時代とは決定的に違っておりまして、

実は落語マニアほど気付けないのでありますが、

令和時代の今は、驚くほど落語を聴く人は減っています。

 

それと同時に非常に残念ながら落語家さんの知名度もかなり低くなっています。

 

頻繁に寄席通いをしておりますと、

笑点メンバーについて、あからさまに否定的な意見を言って笑いを取ろうとする落語家さんもいます。

 

落語の芸一筋こそが、と言う感じで、

「座布団の取り合いをやってどうする?」みたいな、

半ば侮蔑的な発言をして笑いにしようと言う考えを強く感じます。

 

笑点の大喜利は確かに落語本来の芸とは関係なく、

寄席で時折仕掛けるお遊びのようなものではありますが、

超長寿番組である笑点の影響で、むしろ大喜利こそが落語家の顔のようになっている面すらあります。

 

実のところ、令和時代の今、

春風亭一之輔さんと聴いて、

即座に「ああ、あの人ね」と言える人はどれくらいでしょうか。

 

一之輔師匠はNHKのドキュメンタリー番組に出演したため、

落語家さんの中では非常に有名な方です。

 

しかし、現在のテレビにおける純粋な落語番組は極めて少ない現状があります。

 

地上波ですと、NHK「日本の話芸」か、深夜にたまにやるTBS「落語研究会」か。

 

ともかく数えるほどしかありません。

 

定席の寄席(ほぼ365日、落語をやっている昔ながらの場所)ですら、

かつては日本全国に多数あったのですが、

現在は東京をもってしても浅草、上野、新宿、池袋にしかありません。

 

と言うか、定席の寄席は東京の4軒しか現存していません。

 

微妙な存在の国立演芸場を入れても5軒で、

しかもコロナ禍で存続が危ないと言われているところすらあります。

 

そして知名度と言う一点において考えると、

やはり人気番組のテレビ出演の影響は非常に大きいものがあります。

 

寄席の出演者に笑点メンバーが1人でもいたら寄席の客は結構盛り上がります。

 

もちろんガチガチの落語通の中には嫌っている人もいるかも知れませんが。

 

しかし寄席の雰囲気は確実にガラリと変わります。

 

それほど笑点メンバーの知名度には絶大なものがあります。

 

日本人ならほぼ全員知っているのではないでしょうか???

 

それほど笑点メンバーになる、と言う事は実は落語家さんにとっても、

人生が非常に大きく変わるのを意味します。

 

しかもその競争率は異常に高いです。

 

現在落語家さんは歴史上最も多く、

800人を軽く超えているとも言われています。

 

しかし笑点メンバーは司会1人、大喜利6人、座布団運び1人しかいません。

 

この8人の知名度は圧倒的に高いです。

 

反面、落語通なら当然知っている大名人であっても、

実は想像以上に知名度は低い現実があります・・・・・

 

ちなみに最近お亡くなりになった大名人柳家小三治師匠。

 

あくまでも知名度と言う点において考えたら、

残念ながら笑点メンバーには敵いません。

 

もちろん落語の上手さとは関係ありませんが、

ともかくここで言いたいのは、

昭和時代とはもう違っている、と言う落語界の現状についてなのであります。

 

昭和時代は娯楽が少なかったので、

ラジオやテレビで聴く落語は立派な娯楽の1つでしたし、

寄席通いも普通に大勢の人がやっていましたが、

どんどんとその数は姿を消して、現在は東京に4軒だけ、と。

 

テレビの番組も数えるほどしかない、と。

 

欧米のスタンドアップコメディとも違う、

日本の伝統芸能である落語。

 

大切にしたいところでありますが、

現在の落語界は事情が非常に複雑でありまして、

今回は敢えて書きませんが、

酷い派閥争いがあり、

寄席の出演も所属している団体により出来たり出来なかったり。

 

笑点は唯一、その派閥を超えた存在として君臨しています。

 

けれども、それを良しとしない落語家さんも大勢います。

 

この辺の考え方は、何が良くて悪いのかとは言えるものでもありませんが、

笑点の持つ意味と実力が非常に大きいのだけは確かなところです。

 

しっかしまあ、日本テレビ、凄い実力者を出して来たものであります。

 

終わり

 

余談:

春風亭一之輔師匠。

以前、浅草で「めがね泥」だったかな?を聴いていた時の事でした。

要するに泥棒の噺なのですが、

偶然、浅草演芸ホールの前をパトカーがけたたましいサイレンを鳴らして通過したのであります。

落語はちょうど捕まるとか捕まらないと言う場面でした。

すると一之輔師匠「(パトカーが)来るのが早過ぎるんだよっ!!」とアドリブをかまして来ました。

大爆笑になった浅草演芸ホール。

以来、凄い師匠だなと思ってましたら、アドリブ命の笑点メンバーに。

面白くなりそうです。

 

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202302050000935.html