「戦争の豆知識:究極のマスコミ・極地探検の通信機器『イリジウム携帯電話』について」
この時点でのキエフでは時折、爆発音が遠くで聞こえるとリポートしていました。
これから先、侵攻が始まったら街は当然破壊されまくります。
もちろんネットや電話網などの有線は切断されますし、
携帯電話でも基地局を破壊されますから使用不可能になります。
このような時、マスコミはどのように自国に伝えるのかご存知でしょうか?
以前、戦争取材で活躍する人の本を読んだ時、
なるほどと思われる手段を使っていたのでご紹介したいと思います。
それが掲題の「イリジウム携帯電話」となります。
この電話は古いガラケーみたいな形をしていますが、
基地局を経由しないで、直接人工衛星と通信する能力を持った携帯電話です。
この種の携帯には2種類あって掲題のイリジウムは地上で電波さえ届けば、
地球上のどこにいても繋がります。
(もちろん地下などは不可)
もう1つはインマルサットですが、
これは衛星の位置の関係で北極と南極では通信出来ません。
世界の戦争取材記者は破壊された街でも最終的にイリジウム携帯電話を使って通信します。
記者達は分散すると非常に危険なため、
軍隊が街に突入して市街戦が始まると、大きなホテルに留まり、
ここには記者達がいるのだと知らせて、それでも砲撃や爆撃に怯えながら取材を続行します。
この時、ホテルの屋上には出来るだけ良好な電波状況を確保するため、
別に大きな通信用のアンテナを広げているそうです。
ちなみにこの携帯の利用料金は非常に高く、
現在のAmazon価格では、150~500分のプリペイド式の場合、
35,000~120,000円くらいになっているようです。
さらにちなみに、戦闘状態になった時、
建物の窓際に迂闊に立ったら狙撃兵と見做されて銃撃されるので要注意です。
また、やはり敵性地域で紛争に巻き込まれた場合、
安易に携帯電話を使用すると、位置を特定されてしまい、
精密誘導弾が飛んで来てふっ飛ばされてしまうらしいのでこれまた要注意である、と。
現代戦は武器が進化している分、非常に性質が悪いと思っております。
(もっとも昔が良かった訳でもないですが、より巧妙で陰険なところが恐いです)
果たしてウクライナ問題、どうなる事やら。
いずれ近いうちに記者達がイリジウム携帯を使う事態になるのは残念ながら確実に見えます。
終わり